きょういくじん会議
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食料自給率アップをめざす! 米粉を推進する試み
kyoikujin
2010/12/21 掲載
ふんわり米粉パン―炊飯器で超かんたん 小麦粉・卵・乳製品ゼロ

 皆さんは、米粉を使った料理を食べたことはありますか。
 米粉とは、文字通り米を粉末にしたもので、小麦粉に代わるものとして注目されています。米粉を使ったパンやケーキなどはよく知られているかもしれませんが、最近は揚げ物の衣やパスタなど、多くの商品が出回っています。
 米粉は独特の食感や栄養価の高さが話題を呼んでいます。また、社会問題のひとつである食料自給率を上げる救世主とも言われているようです。

 農林水産省が発表した、日本の食料自給率(21年度・カロリーベース)は、40パーセントでした。諸外国の食料自給率(19年度・カロリーベース)は、アメリカが124パーセント、イギリスが65パーセント、オーストラリアが173パーセントです。日本は1961年の食料自給率は78パーセントでした。日本の食料自給率が低い要因には、食の欧米化が挙げられます。国内において生産量の多い米の消費量が減ったことで、食料自給率が低下しています。食料自給率が低いと、世界が食料不足に陥った際に、安定した食料を供給されない可能性が高いのです。

 そこで日本では、米の消費量を増やして食料自給率を上げようという動きが広まっています。米を白米として食べるだけでなく、米粉を活用した新しい消費スタイルを推進する試みがあります。

 20年度に、農林水産省は「食料自給率向上に向けた国民運動推進事業」を立ち上げ、FOOD ACTION NIPPON推進本部を発足しました。これは、生産・流通・消費のそれぞれの問題点を共有し、国民が一体となって日本で生産した農産物の消費拡大を推進しよう、という目的の下に活動している組織です。この組織は、平成32年度に日本の食料自給率を50%まで上げることを目標としています。

 FOOD ACTION NIPPON推進本部の活動は、国民運動を展開する方法の企画や、企業や自治体、大学などから国民運動の推進パートナーの募集、有名人を起用した広報などがあります。現在、推進パートナーは3900社だそうです。

 そして、FOOD ACTION NIPPON推進本部の取り組みの一環として、米粉倶楽部という、米粉を通じて新しい食の可能性を広げる活動があります。企業などが部員として登録すると、米粉倶楽部のホームページ上で、自社で開発した米粉商品や普及活動の事例などを掲載することができます。ホームページに多く寄せられている米粉商品の一部を紹介いたします。

●蒸しケーキ
第一屋製パンが販売している国産米粉を100パーセント使用した蒸しケーキです。今年の10月1日より、関東地区限定で販売されているようです。

●半熟カステラ
株式会社喜太郎商店の半熟カステラ「パンデロー」は、地元塩沢の魚沼産コシヒカリの米粉が100パーセント使用されています。

●めん
エースコック株式会社の「お米でもちもち ラーメン新麺組」には、新潟県産コシヒカリを10パーセント使用しためんが使用されています。

●揚かまぼこ
伏見蒲鉾株式会社の「白身魚とうふ揚」には、新潟県産コシヒカリの米粉を3パーセント使用されています。

●ぎょうざ
白河農業協同組合のぎょうざには、福島県白河産米の米粉が30パーセントほど使用されています。

 ほかにも、米粉商品は種類多くあり、日本での普及が期待できそうです。
 米粉は食料自給率とのかかわりだけでなく、さまざまな点で注目されています。たとえば、米由来ならではのもちもちした食感が特徴のようです。パンやスイーツ、麺などで使うと、小麦粉とはちがう食感が楽しめます。それから油の吸収率が、小麦粉は約50パーセント弱、米粉は約30パーセント弱と米粉の方が低いため、低カロリーの揚げ物などをつくることができます。

 また、家庭で作れる米粉レシピも多く掲載されています。米粉は、家庭用米粉の販売店一覧(農林水産省のホームページ内)に載っている場所で入手できます。
 クリスマスや年末、お正月…と行事つづきの年末年始に、米粉を使った料理で、食卓を飾ってみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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