きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
多くの人の想いをのせて―自閉症の青年を描いた映画
kyoikujin
2011/1/12 掲載
ぼくはうみがみたくなりました

 東京都町田市で障害児のための福祉施設を運営する山下久仁明さんが、企画、原作、脚本を手がけた「ぼくはうみがみたくなりました」という映画をご存知でしょうか。映画が公開されたのは2009年ですが、いまも全国で自主上映会が行われており、これまでに200ヶ所以上で上映され、40000人以上の観客を動員してきたそうです。

 脚本家でもある山下さんの長男大輝くんは、自閉症児でした。山下さんは、多くの人たちに自閉症のことを知ってほしいとの思いから、2002年に小説「ぼくはうみがみたくなりました」を出版したそうです。ストーリーは自閉症の青年と看護学生が出会い、海まで旅をするというもの。映画化にあたっては費用が課題でしたが、インターネットで制作費のカンパを募るという手法を知り、2006年1月より映画化に向けての取り組みをはじめました。
 しかし、映画化を夢見て動き始めた矢先、山下さんは大輝くんを失ってしまいます。中学を卒業したばかりの大輝くんは散歩中に鉄道の事故にあい、15歳という若さで亡くなってしまったのです。山下さんは、悲しみのなか、あきらめずに3年がかりで映画を完成させました。全国の賛同者は1,000人以上にのぼり、最終的には3500万円以上もの寄付金が集まったそうです。
 看護学生・明日美役は、「いま、会いにゆきます」で主人公の少女時代を演じた大塚ちひろさん、自閉症の青年・淳一役は、500人以上のオーディションから選ばれた新人、伊藤祐貴さん。淳一の母親役は、石井めぐみさんが演じました。

 ロードショーは終わってしまっていてすでにDVDが発売されているのですが、今でも様々な場所で自主上映が企画されています。今月ですと、1月16日には、映画の舞台になった神奈川県三浦市民ホール、17日には北海道平取養護学校、29日には広島県竹原市たけはら美術館文化創造ホール、30日鳥取県米子コンベンションセンターBIG SHIPでの上映が予定されています。今後の上映会情報は、ホームページ
から見ることができます。また、自主上映会の企画申し込みも受け付けているようです。
 できあがるまでにも、できあがってからも、たくさんの人の想いを糧に成長していくような、この映画。お近くで上映されるときにはぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。