きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
大人へのスタートライン―2分の1成人式
kyoikujin
2011/1/14 掲載
小学四年生の心理―十歳‐二分の一成人式 (New心理学ブックス)

 1月10日は成人の日。この週末、全国各地で成人式が行われ、今年は約127万人の新成人が、大人への第一歩を踏み出しました。
 ところで今、小学校で、「2分の1成人式」というものが広まっていることをご存知でしょうか。

 「2分の1成人式」とは、20歳のちょうど半分にあたる10歳の子どもたちを対象に行われます。
 10歳といえば、小学4年生。小学校では既に定番となりつつあるイベントで、「総合的な学習の時間」が取り入れられた2000年ごろから、徐々に全国各地に広まっていきました。
 小学校教育に携わっている方を除き、このような「もう一つの成人式」が行われている事自体、初耳だという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 さて、「2分の1成人式」ではどのようなことが行われるのでしょうか。
 ・命の大切さを知る
 式に臨む前に、長い期間をかけて事前学習をする学校がほとんどのようです。命の誕生の仕組みをVTRを使って指導したり、実際に作物や動物を育てるなどして、児童は命の大切さを学びます。
 ・10年間を振り返る
 ここからは式当日のプログラムです。自分の誕生秘話、小さい頃の様子などを家族に聞き、式の中で発表することが多いようです。
 自分がどれだけ望まれて生まれてきたのか、そのとき両親がどんなに喜んだかを知ることで、いつも近くにいてくれた方々への感謝の気持ちが芽生えます。
 ・将来の夢を発表する
 10年後もしくはさらにその先の未来、自分は何をしているのだろうかということを考え、発表します。
 幼稚園や保育園に通っていた頃とは少し違った夢。保護者の方が、自分のお子さんの成長を感じられる瞬間でもあります。
 夢を実現するために何をしていかなければならないのかも考えることで、これからの日々の過ごし方に意味を持たせることができるのではないでしょうか。
 ・両親との手紙交換
 「2分の1成人式」の一番の目玉が、この手紙交換といっても過言ではありません。普段、家庭では言えないことも、このような特別な式の中だからこそ言えるようです。感動の言葉に涙を流す親子も少なくないといいます。

 自分が生まれてきたことの素晴らしさを知ること。今の自分への誇り、両親への感謝の気持ち。普段の学校生活の中ではなかなか感じる機会のないものです。
 「2分の1成人式」を終え、10年後に迎える成人式までのスタートラインに立った児童たち。素直に返事ができるようになった、「ありがとう」が言えるようになった、など、目に見える変化のあった児童もいるそうです。学級崩壊やいじめといった暗いニュースばかりが目立つ教育界において、何とも嬉しい報告です。
 小学校では平成23年度から新学習指導要領が実施されます。主要教科の学習時間の増加により総合的な学習の時間は削減されてしまいますが、自尊心と命を大切にする豊かな心を持った児童の育成のために、「2分の1成人式」はぜひ今後も広まっていって欲しい学習のひとつだと思っています。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。