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公表! 言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】
kyoikujin
2011/1/13 掲載

 12日、文部科学省から「言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】(以下、「指導事例集」)」が公表された。
 基本的な考え方のほか、国語科は22事例、その他の教科等も2〜14事例と大変豊富な資料だ。「言語活動の充実」については、国語科をはじめ各教科等で大きな話題になってきたが、今回かなり踏み込んだ指針が示されたことで現場の実践研究もより進んでいきそうだ。

 「指導事例集」の目次は以下の通り。

第1章 言語活動の充実に関する基本的な考え方
(1)学習指導要領における言語活動の充実
(2)言語活動の充実に関する検討の経緯
(3)各教科等における言語活動の充実の意義
(4)思考力・判断力・表現力等の育成と言語活動
(5)学習評価と「言語活動の充実」
第2章 言語の役割を踏まえた言語活動の充実
(1)知的活動(論理や思考)に関すること
(2)コミュニケーションや感性・情緒に関すること
第3章 言語活動を充実させる指導と事例
(1)児童の発達の段階に応じた指導の充実
(2)教科等の特質を踏まえた指導の充実及び留意事項
(3)指導事例
指導事例一覧
参考資料

授業の具体に踏み込んだところに注目!

 中でも、「第2章 言語の役割を踏まえた言語活動の充実」は教科・領域にかかわらず必読の内容だ。
 言語の役割を、(1)知的活動(論理や思考)、(2)コミュニケーションや感性・情緒、という二つの側面から捉え、言語活動の指導の在り方と留意点について整理されている。

(1)知的活動(論理や思考)に関すること
ア 事実等を正確に理解し,他者に的確に分かりやすく伝えること
イ 事実等を解釈し説明するとともに,互いの考えを伝え合うことで,自分の考えや集団の考えを発展させること
(2)コミュニケーションや感性・情緒に関すること
ア 互いの存在についての理解を深め,尊重していくこと
イ 感じたことを言葉にしたり,それらの言葉を交流したりすること

 各教科等において、これまでの授業をこの4つの視点で「言語活動」として捉えなおし、それぞれの「言語活動」を充実させることが目指される。

 これは、小学校においてどのような授業を行えばよいか、その授業改革の中身について、思い切り具体的に踏み込んだものだ。どの言語活動を見ても、子どもたち自身が「他者に対して表現する」「他者と伝え合う」ことが重視されている。

 つまり、従来批判されてきた「講義型の授業」「注入型の授業」を廃して、「言葉を介した交流型の授業」への転換を、国を挙げて推進していこうという表れと見ることができそうだ。

「国語科」の役割とは?

 これら言語活動の基盤教科として、国語科が期待されている。

 「第3章 言語活動を充実させる指導と事例」の<国語>に、

日常生活に必要とされる記録,説明,報告,紹介,感想,討論などの言語活動を行う能力を確実に身に付けることができるよう,継続的に指導する

とあることが象徴的だ。

 また、「読むこと」については、従来型の授業への痛烈な批判として、

無目的に場面ごと,段落ごとに平板に読み取らせる指導を改善することが求められる

という記述がある。

 文学的な文章・説明的な文章などの文種にかかわらず、全文を逐次的に読解していく授業からの脱却が必要だ。今後の現場実践の充実に期待して見守りたい。

 なお、「指導事例集」は【中学校版】も近日公開される予定である。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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