きょういくじん会議
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冬はこたつで「あたらしいみかんのむきかた」にチャレンジ!
kyoikujin
2011/1/25 掲載
あたらしいみかんのむきかた

 寒い日が続いていますが、ついつい「こたつでみかん」生活を過ごされている方も多いのではないでしょうか。そこで、あなたのみかんライフを一変させる書籍、『あたらしいみかんのむきかた』をご紹介。本書を読んで、今年の冬を芸術的に(?)過ごしましょう!

 小学館から発売中の『あたらしいむかんのむきかた』は、牧師の岡田好弘さんが考案した、一風変わったみかんの剥き方を紹介する工作絵本です。気になるその剥き方とは、図に従ってみかんに線を描き入れ、それに沿って皮を剥くことで、うさぎやサソリなどの様々な動物の形ができるというもの。同書では、干支を中心に25種の動物の剥き方が紹介されています。
 余分な箇所を切ったり、何かを付け足したりせず、1枚の皮から1つの作品が生み出される点に特徴があり、折り紙に通じる造形的美しさをたたえています。
 また、同書はストーリー仕立てとなっていて、小学生の「むきお」が大晦日の夜に新しいみかんの剥き方に目覚め、みかん剥きを通して成長していく物語を、昔の学習絵本風の絵柄で描いています。

 昨年11月に発売されると、各地の書店員の発言からTwitter上で話題となり、テレビや新聞などで続々と取りあげられるようになりました。油性ペンとカッター・はさみなどを用意するだけで気軽に取り組めることから、同書の購入者が次々と作品をネット上にアップし、口コミでさらなるブームが広まっています。25日には4刷が決定し、2か月足らずで5万部を出荷する見通しで、工作本としては異例のペースと言われています。

みかんは地球? 実は知的なみかん剥きの魅力

 手先の器用さが必要なのかと思っていたのですが、実際に挑戦してみると、予想以上に脳を駆使することがわかります。立体のみかんを平面の動物に変換していく過程は、算数の立体図形の問題に通じるものがあり、空間把握能力を求められるのです。指先と頭をフル回転させるので、生活の中でできる脳のトレーニングとして、効果が期待できるかもしれません。

 また、球体のみかんと平面の作品の関係は、地球(儀)と地図の関係に似ています。著者は以前から地図に興味があったらしく、ご自身のブログではフリーの地図作成ソフトPTOLEMYを紹介しています(完全版は有料)。このソフトは様々な図法で地図を作成できるので、球体を平面に変換するための工夫を簡単に体験することができます。『あたらしいみかんのむきかた』からスタートして、子どもたちと一緒に世界地図の仕組みについて考えてみるのも面白いかもしれませんね。

 少し視点を変えることで、捨てるしかなかった「みかんの皮」が魅力的な素材に変わり、知的好奇心を刺激する。日常の中に楽しみを見つけて育んでいく、そのような著者のスタンスが多くの人に支持されているのではないでしょうか。
 29日にはタワーレコード渋谷店で、著者とイラストレーターによるワークショップ「NO MIKAN, NO LIFE.」が開催される予定ですので、近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみてください。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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