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大人顔負け!? 小学生が与えたある“感動”とは
kyoikujin
2011/2/4 掲載
アリジゴク観察事典 (自然の観察事典)

 1月29日の毎日新聞の記事によると、小学校4年生の男の子が、社会に感動を与えた市民を表彰する「シチズン・オブ・ザ・イヤー」(シチズンホールディングス主催)の一人に選ばれたそうです。さて、若干10歳の彼が、一体どんなことで社会に感動を与えたのでしょうか?

アリジゴクは本当におしっこしないの?

 表彰されたのは、千葉県に住む吉岡諒人(りょうと)さん。夏休みの授業研究で、アリジゴクの生態について調べました。当初は、アリ以外のものも食べるかなどの実験をしていたそうですが、アップの写真を撮ろうと白い紙の上に置いた際、アリジゴクが黄色い液体を出したことに気付きます。
 なんの下調べもしていない筆者などがそれを見たら、「へぇ、アリジゴクのおしっこも黄色いんだ」くらいにしか思わなさそうなこの出来事。実は、文献などでは“アリジゴクは排泄をしない”というのが定説なんだとか。そのことに気付いた吉岡さんは、液体の染みの写真を日本昆虫協会やインターネットの質問サイトに投稿し、質問をしたのですが、納得のいく答えが得られなかったそうです。

よし、実験して調べよう!

 彼のすごいところは、ここで諦めなかったこと。「エサの体液を吸っているんだから、おしっこを出さないと破裂するはず」という仮説を立てて、検証し、リポート(なんとA4用紙55枚!)にまとめました。この研究が評価され、2010年度の「夏休み昆虫研究大賞」に選ばれています。

納得のダブル受賞

 ということで、「夏休み昆虫研究大賞」に次ぐ今回の受賞。事前にきちんと下調べをしていたこと、世の中の定説をクリティカルに考えたこと、そしてそれをまとめあげる力、どれをとっても、大人に引けを取りません。
 ご家庭の教育の賜物なのか、学校教育によるものなのか、彼自身の持つ力なのか、いろいろと要因はあるのかもしれませんが、いずれにしても、自分が小学生だったときに、こんなにもトコトン探究できたか…と考えると、いまどきの小学生はすごいな、と素直に思います。情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考え、定説に一石を投じた小学生―そんな、日本の子どももなかなかやるよ!という希望の持てるニュースだったことに、受賞の理由があったように思いました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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