- きょういくじん会議
![アリジゴク観察事典 (自然の観察事典)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/403527500X.01.MZZZZZZZ.jpg)
1月29日の毎日新聞の記事によると、小学校4年生の男の子が、社会に感動を与えた市民を表彰する「シチズン・オブ・ザ・イヤー」(シチズンホールディングス主催)の一人に選ばれたそうです。さて、若干10歳の彼が、一体どんなことで社会に感動を与えたのでしょうか?
アリジゴクは本当におしっこしないの?
表彰されたのは、千葉県に住む吉岡諒人(りょうと)さん。夏休みの授業研究で、アリジゴクの生態について調べました。当初は、アリ以外のものも食べるかなどの実験をしていたそうですが、アップの写真を撮ろうと白い紙の上に置いた際、アリジゴクが黄色い液体を出したことに気付きます。
なんの下調べもしていない筆者などがそれを見たら、「へぇ、アリジゴクのおしっこも黄色いんだ」くらいにしか思わなさそうなこの出来事。実は、文献などでは“アリジゴクは排泄をしない”というのが定説なんだとか。そのことに気付いた吉岡さんは、液体の染みの写真を日本昆虫協会やインターネットの質問サイトに投稿し、質問をしたのですが、納得のいく答えが得られなかったそうです。
よし、実験して調べよう!
彼のすごいところは、ここで諦めなかったこと。「エサの体液を吸っているんだから、おしっこを出さないと破裂するはず」という仮説を立てて、検証し、リポート(なんとA4用紙55枚!)にまとめました。この研究が評価され、2010年度の「夏休み昆虫研究大賞」に選ばれています。
納得のダブル受賞
ということで、「夏休み昆虫研究大賞」に次ぐ今回の受賞。事前にきちんと下調べをしていたこと、世の中の定説をクリティカルに考えたこと、そしてそれをまとめあげる力、どれをとっても、大人に引けを取りません。
ご家庭の教育の賜物なのか、学校教育によるものなのか、彼自身の持つ力なのか、いろいろと要因はあるのかもしれませんが、いずれにしても、自分が小学生だったときに、こんなにもトコトン探究できたか…と考えると、いまどきの小学生はすごいな、と素直に思います。情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考え、定説に一石を投じた小学生―そんな、日本の子どももなかなかやるよ!という希望の持てるニュースだったことに、受賞の理由があったように思いました。
- 日本昆虫協会ホームページ
http://nikkonkyo.org/index.html - アリジゴク、おしっこする 千葉の小4が通説覆す発見(朝日新聞)
http://www.asahi.com/science/update/1104/TKY201011040161.html - 昆虫研究大賞受賞 吉岡諒人君(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/feature/chiba1293813002974_02/news/20110... - アリジゴクの通説覆した10歳吉岡君ら表彰 シチズン(産経ニュース)http://sankei.jp.msn.com/life/news/110129/trd11012910010008-n1.htm
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