- きょういくじん会議
18日、産経新聞などが報じたところによると、22年度から抽出方式で実施されている全国学力・学習状況調査について、文科省の専門家会議が、「数年に一度の割合で全員参加型を導入する」という検討を始めたようだ。早ければ25年度からの実施に向けて、来月いっぱい検討を行うという。
これまでの経緯
19年度から3年間は国公立の小学6年生、中学3年生のほぼ全員が参加して行われた全国学力調査。民主党政権に替わり、22年度から3割程度の抽出方式になったばかりだ。
22年度は抽出調査とはいえ、抽出対象外でも希望して調査問題を取り寄せて臨んだ学校も含めると、実際の実施率は全国で7割に上ったといわれ、全員参加を望む声も根強かった。
PISAの影響が改めて強く出ている今回の検討
今回の検討にあたっては、「悉皆か抽出か」ではなく、あくまでも、数年に一度は「きめ細かな学力の把握が必要」なため、「新たな方式」を検討するとしている。
これまで、調査問題が毎年全問変わるため、PISA調査とは異なり学力の経年変化がきちんと測れないという指摘もあったが、その点の改善も視野に入れているそうだ。
当サイトでも以前取り上げたように、昨年8月27日付で出された「平成23年度以降の全国的な学力調査の在り方について(中間まとめ)」を経て、10月には新たな調査教科として「理科」が挙げられた。理科の調査は早ければ24年度から数年おきに実施されるということである。
この(中間まとめ)では、6月18日に閣議決定された「新成長戦略」の影響が色濃く出ていたのも見逃せない。
「2020年までに実現すべき成果目標」
OECD生徒の学習到達度調査等で世界トップクラスの順位
【1】最上位国の平均並みに、低学力層の子どもの割合の減少と高学力層の子どもの割合の増加
【2】「読解力」等の各分野ごとの平均得点が、すべて現在の最上位国の平均に相当するレベルに到達
【3】各分野への興味・関心について、各質問項目における肯定的な回答の割合が国際平均以上に上昇
「3年おき」に「重点科目を変え」「抽出方式」で行われているPISA調査に関連して、今月28日にはOECDからアンドレア・シュライヒャー氏が来日して国立教育政策研究所で講演を行うという。演題は「PISAから見る、できる国・頑張る国:日本の子どもたちは?」。
新成長戦略からも、「できる国」がキーワードになってくるのかもしれないが、政争で教育政策も右往左往させられては困ったものだ。その点、前政権から「PISAを意識した教育改革」に関してだけは一貫しているともいえる。次世代のためにも、国の学力調査のあり方には今後とも注視していきたい。
- 【主張】全国学力テスト 「毎年、全員参加」に戻せ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110221/edc11022103050000-n1.htm
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