- 国語科指導技術
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いよいよこの連載も最終回です。
最後のテーマは「国語教師の指導技術とは」です。若輩者の私にとっては少し荷が重いテーマです。しかし、せっかくいただいたテーマですから、自分なりに一生懸命考えてみたいと思います。
国語教師の指導技術には二つの側面があるように思います。一つが子どもの意欲を高めるという側面であり、もう一つが言葉の力や国語学力を伸ばすという側面です。この二つについて詳しく述べていきます。
子どもの意欲を高めること
これなくして「指導技術」とは言えません。
普通に学習するよりも、普通に授業を受けるよりも子どものやる気が高まってこそ、その教師の「指導技術」と言えます。
子どもはどんな時に意欲が高まるでしょうか。
「面白い!」と思った時であり、「へぇー」と納得した時であり、逆にいつも簡単にできていると思っていたものが少し難しく感じた時でもあると思います。様々な場面で子どもは意欲を高めます。一概には言えません。
ですから、我々教師は一つのやり方に固執するのではなく、様々な指導法を考え、試しながら子どもが意欲を高めた瞬間を逃さず捉えていく必要があります。そうした一瞬を捉えることで、自分の指導技術の引き出しを増やしていくのです。
この連載でご紹介してきた指導技術は、どれも子どもの意欲を高めるものでした。どれも私が「こうして指導してみたら面白いのではないかな」と考え、子ども達に試しながら、手ごたえを得て自分の指導技術としてきたものばかりです。
例えば、1月にご紹介した、説明的文章指導の際に「表自体を作成させる」という指導技術。主に高学年に向けてのものになりますが、表が書かれたワークシートを渡して穴埋めをさせるよりも歯ごたえがあって、「うーん、何段にしよう」などと意欲的に考えながら取り組みます。
繰り返しになりますが、指導技術は、意欲を高めることが最重要ですから、教師自身も常にワクワクしながら指導法を試行錯誤していくことが重要なのです。そうした繰り返しの先に、自分なりの指導技術が見えてきます。
言葉の力を伸ばすこと
意欲を高めるということが最優先ですが、それだけでは十分な「国語教師の指導技術」とは言えません。子ども達は意欲を高めて学習を楽しんだけれど、言葉の力は伸びなかった、というのでは不十分です。
ですから、指導技術を考えて創り出していく際には、子ども達の意欲が高まるか、ということを最優先に検討しつつ、子ども達の言葉の力がしっかり伸びるのかを検討しなくてはなりません。
そのためには、教師がどんな言葉の力を伸ばしたいのかということや、そもそも言葉の力とはどんなものなのか、ということを明確にしていかなくてはなりません。これは意外と難しいことです。
「指導要領に書かれているじゃないか」と思われる先生もいらっしゃるでしょう。しかし、指導要領に書かれているのはあくまでも抽象的な言葉の力です。教材を通して、具体的に子どもがどのような姿になるのが言葉の力がついた、と言えるのかを今一度教師が明確にしていきましょう。
例えば、学習指導要領「C 読むこと オ 考えの形成」の項には、総じて「自分の考えを持つこと」について書かれています。そして1、2年生から「文章の内容と自分の経験とを結び付けて」ということが求められています。
言葉にすると一見簡単なようですが、このような姿を子ども達から引き出すのは容易ではありません。これは、具体的な子どもの姿で言えば、「文章には○○と書かれていて、僕も××ということがあったなぁ、あれと同じかな」とか「獣医さんのすごいところは○○だと思う。だって、自分だったら絶対にこんなことを思いつかないから」などと、文字面を読み取るだけでなく、自分の中にある経験や知識のフィルターを通させる必要があるからです。
私個人の考えとしては、こういった読み方は高学年でも難しいと思っています。普通に読ませただけでは、「ふーん。○○なんだぁ。へぇ」と文字面を読み取って分かった気になって終わってしまうからです。だからこそ、教師の指導技術が求められるのです。(具体的な指導技術は、バックナンバーをご覧ください。)
このように、国語教師の指導技術は、子ども達の言葉の力を深く吟味し、それを引き出す工夫を講じていくことが欠かせません。
両面をあわせもつ指導技術を
国語教師の指導技術について考えてきました。
本稿では、主に二つの側面を考えてきましたが、それぞれの側面もいくつかの部分に分かれる気もします。そのことについては、またの機会に詳しく考えていきたいと思います。とにかく、子どもの意欲が高まること、子どもの言葉の力を伸ばせることの二つをあわせもつ指導技術を追究していくことが重要だということを主張し、筆をおきたいと思います。連載をお読みくださりありがとうございました。
ここがポイント!
- 国語教師の指導技術の追究に、終わりはない!
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