- とっておきの授業スキル
- 社会
長瀬:第2回は社会科、中條佳記先生です。「社会科は難しい!」という声をよく耳にします。そこで、いかに社会科を楽しくできるかという点にこだわり、中條先生にお願いしました。ぜひ、中條先生の社会科教室をお楽しみください。
「社会科授業が苦痛だ。」「教えるのが難しい。」「どう教えてよいのかわからない。」―これは、現場の先生方の生の声です。社会の形成者の一人として、子どもたちが成長していくためのきっかけが社会科授業です。これから紹介するスキルを用い、社会科授業を楽しいものにしていきましょう。
スキル1比較させる
2枚の写真、2枚の図、2枚の絵など、子どもたちが比較できるものを準備し、似ている、同じ、違っているという視点を持たせ、資料を活用します。比較することによって、子どもたちの気づきにつながり、疑問を持ちやすくさせます。また、気づかなければ、ヒントを出してもよいでしょう。何を比較させるのかは、教師の発問や指示によりますが、子どもたちは食い入るように資料を見るようになります。
うまく比較させることができるようにするためには、段階を踏んで、ステップアップさせることも大切です。まずは、1枚の資料から、気づくことがいくつあるのかを教師自身が探しておきます。そして、「この絵を見て、気づいたことを5つ書きなさい。」と指示します。さらに、もう1枚の資料を提示し、「気づいたことを5つ書きなさい。」とすると、先程の資料と今見ている資料と比較することができるようになります。つまり、段階を踏んだり、手順を正しく進めていくと、資料の比較ができてくるというわけです。
スキル2本物を用いる
導入・展開・まとめといった授業の中でも、この「本物を用いる」という手法はどの段階でも効果的に使えますが、もっともオススメするのは、やはり授業最初の導入部分です。
私が実際にこれまで用いたものには、下記のようなものがあります。
炭鉱から採れた石炭/畑の肥料/火打ち石
硬貨と紙幣/鹿の角/奈良晒/図絵/地図/稲/吉野杉
自動車の部品/蚕が葉を食べる音
ビニールハウス内を飛び交う蜜蜂の羽音
もちろん、本物を準備できない場合は、模造品で十分ですが、やはり本物に勝るものはありません。子どもたちの学習意欲の高まりと興味や関心が高まっていく様子を見ることができるに違いありません。
それぞれの単元の中で、何か一つでも良いですから本物を準備し、授業中に登場させると、教育効果は上がりますので、ぜひお試しください。
スキル3【もの】・【ひと】・【こと】にこだわる
私は、【もの】・【ひと】・【こと】にこだわって社会科授業づくりを行っています。例えば、5年生の農業の授業であれば、【もの】は「産物」(例えば、地域特産のナス)、【ひと】は「農家」、【こと】は「安心・安全」といったところでしょうか。これらを教師が意識することで、この単元の学習で子どもたちに何を学ばせたいのかがはっきりするでしょう。この3点の関係性を重視して、【こと】につなげていくことが社会科授業として、大切なことだと考えています。
- 子どもたちが社会科授業に前向きに取り組み、「面白い!」「楽しい!」と感じられるように。
- まずは教師自身が、「社会科って面白いなぁ」と感じ、子どもたちに笑顔で楽しそうに語りかけながら授業を進める。
- 授業スキルは何度も試すことで自分のスキルになる。
長瀬:中條先生ありがとうございました。次回は英語科のとっておきスキルを立命館小学校の正頭英和先生にご紹介いただきます。どうぞお楽しみに。