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教科書検定─決定を覆すことの陰で見過ごせない問題も
kyoikujin
2007/10/3 掲載

 9月29日、宜野湾海浜公園に11万人が集結した沖縄県民大会以来、高校日本史教科書の「集団自決」の記述に関して、教科書検定で削除された内容を、来年度からの教科書に復活させようとする動きが強まっている。一方で、一旦、検定に合格した教科書を訂正することに対しては、検定を有名無実化するとの指摘もあり、微妙な問題をはらんでいるようだ。

 文部科学省によると、小・中学校、高校の教科書検定は、国民の教育を受ける権利を保障するための、以下のような要請にこたえるために実施しているとのことだ。

  • 全国的な教育水準の維持向上
  • 教育の機会均等の保障
  • 適正な教育内容の維持
  • 教育の中立性の確保

 ちなみに、日本では戦後までは、国が教科書を発行する国定教科書制度が長く続いていたが(※)、諸外国の教科書制度を見ると、韓国やタイなどでは国定教科書が使われている一方、英国やスウェーデンなど検定を行わない国もあり、さまざまだ。

 教科書が適切に検定されれば、全国に同水準で内容の偏りのない教育を提供できるだろう。だが、一旦決定した検定結果を覆すことは、今回のように民意が反映される上では実りもあると言えそうだが、そうでない場合には、教科書に政治的介入を許す恐れもあり、「教育の中立性の確保」に不安を残すことになるかもしれない。
 教科書検定制度の在り方に対して、文科省の教科用図書検定調査審議会で改善が検討されているが、こうした検定合格後に訂正を行う場合の問題点も、より深い審議によって改善し、安心して教育を受けられる環境が維持されることを願いたい。

※戦前でも義務教育開始当初は検定教科書が使用されていた。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
4件あります。
    • 1
    • 白夜行
    • 2007/10/3 21:26:37
    日本の自衛隊、防大の戦史の教科書や講義ですら、
    「沖縄では軍が民間人に集団自決を強要した」と当たり前に記載されてるし、発言しています。
    思考を止めて「事なかれ主義」になってるのでしょうか?
    企業の教育・社内報の作成、軍隊の教育・訓練、等々は当事者にとって死活問題です。
    教科書検定も本来は死活問題であるべきと思いますが、当事者はどんな心理だったのでしょうか?
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/10/4 9:19:01
    検定制度あった方が安心だという気もしますが、先生や教育委員会などえしっかり選んでもらえればなくてもいい気もします。
    • 3
    • 白夜行
    • 2007/10/4 9:47:48
    検定制度に携わる人や公立学校には緊張感が足りないのでは?
    株式上場している企業では、消費者や株主や従業員などの視線、評価が意識され、誤れば追い出されるか倒産に至る。
    検定にしろ採用決定にしても、その時の手柄だけで、万一、後から誤りが指摘されても罰則が無いのでは?
    日本の「偉い人」って、立場が上には甘く、弱い人や部下には罪をかぶせる癖がある。
    • 4
    • 白夜行
    • 2007/10/4 19:29:07
    TVのニュース見て驚きましたが、
    「検定通ったんだから修正するな」とゴネてるみたいですね。
    「手続きを経ていたら何でも押し通す」偉いさんの頑固さには呆れます。
    昔の大本営以上の頑固さですね。
    こんな「偉いさん」の下で授業を受ける子供は不幸でしょうし、責任はとらずに手柄だけかっさらう「偉いさん」に国費が充てられるのも不愉快ですね。
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