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シングルマザーの自立は前途多難―厚生労働省調査
kyoikujin
2007/10/17 掲載

 16日の読売新聞の記事は、厚生労働省が16日に発表した「2006年度全国母子世帯等調査結果」によると、全国の母子世帯の平均年間就労収入(05年)は171万円と、03年度の前回調査より9万円増えたと伝えている。

 近年、母子家庭の世帯数(厚労省)は増加を続けており、06年度は約79万世帯で、前年より約10万世帯増加している。原因の一つとして、離婚の増加が言われており、離婚件数(※1)は02年の28万9千件をピークに減少しつつあるものの、06年度は25万7千件と、依然として高い水準が続いている。

 このような情勢を背景に、02年、母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法等が改正され、政府は、「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」への転換を図ろうとしている。この改正には児童扶養手当の削減が盛り込まれており、5年間支給した世帯は、08年度から、支給額の半分までの範囲で減額される見通しだ。14日の毎日新聞の記事によれば、福田内閣発足時、自民、公明両党は、この削減を凍結する方向で合意していたが、本記事冒頭の厚労省の調査結果から、母子家庭の経済環境が改善しているとして、凍結対象を低所得世帯に限る方向になったという。

 児童扶養手当などを含めた母子世帯の平均年収は213万円で、全世帯の平均年収が前回589万円から564万円に減少する中で、前回212万円より1万円増えたと見れば「改善している」かもしれない。だが、全世帯の平均年収の4割未満という母子家庭の経済状況は、依然として厳しいと言えるのではないだろうか。常用雇用者の割合が増加していることなどから、政策には一定の効果が見られるようだが、保育園の待機児童問題や、男女に給与格差(※2)が見られることなどもあり、シングルマザーが働きやすい環境の整備がなかなか進んでいない現状もうかがえるようだ。

※1 06年度の人口動態総覧によると、1947年の7万9千件から増減しながらも徐々に増加し、71年には10万件を突破、83年には17万9千件に達し一旦減少、その後、90年の15万7千件から02年の28万9千件まで増加を続けていた。

※2 06年度の「民間給与実態統計調査結果の概要」によれば、男性の平均給与539万円(前年度から3千円の増加)に対し、女性は271万円(同1万8千円の減少)となっている。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/10/19 11:24:28
    周りにサポートしてくれる肉親やサービスがあればよいですが、そうでない限りはなかなかフルタイムで働く事は困難なんだと思います。また、シングルマザーの皆さんが離婚後、慰謝料や養育費を貰っているとは限らないですし、経済状況は厳しいでしょうね。
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