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ITで学校に安心を―大阪教育大付属池田小がICタグ実験
kyoikujin
2008/4/18 掲載
ICタグのすべて

 18日の産経新聞の記事によると、大阪教育大付属池田小が4月から、児童の上履きにICタグを埋め込み、居場所を確認するシステムの実験を始めたとのことだ。

 同小学校では、平成13年6月8日、侵入者により児童8名が殺害されるという痛ましい事件があった。実験は、5、6年生が対象で、事件当時、児童の所在が把握できずに混乱したことを教訓に考案されたという。

 ICタグとは、数ミリ程度のIC(集積回路)チップとアンテナを一まとめにした装置のことで、RFIDタグとも呼ばれる。無線を使ったリーダー/ライターと呼ばれる装置によって、ICタグの情報を読み書きすることができる。電池を内蔵しないICタグでは、アンテナの大きさにもよるが、情報の読み書きのためにリーダー/ライターと数センチ以内程度まで接近する必要がある。この技術の応用例としてよく知られているものでは、JR東日本の乗車カード「Suica」を含む、電子マネーカードが挙げられ、この他にも商品の在庫管理システムなど、幅広く利用されている。

 同小学校の実験では、児童が上履きで玄関口などのマット上を通ることでICタグが検知され、パソコンなどで所在を確認するとのことだ。

 同様の仕組みとしては、東京都豊島区の立教小学校が平成17年4月から、ランドセルにICタグを入れた児童の登下校を、校門のアンテナで検出し、保護者がメールで児童の登下校時刻を把握するシステムがある。導入の背景として、児童の多くが区外や近県から長時間かけて通学していることがあげられている。
 また、大阪府吹田市の古江台中学校でも、平成17年度都市再生モデル調査(都市再生本部)として、平成17年9月から平成18年3月にかけて、ICタグを応用した実証実験が実施された。

 これら先行するシステムでは、アクティブタイプICタグと呼ばれる電池を内蔵するICタグが使用されており、リーダー/ライターのアンテナから10〜20メートル程度離れていても、ICタグを複数同時に識別できる。それに対し池田小学校のシステムは、パッシブタイプと呼ばれる電池不要のICタグを使用しており、リーダー/ライターと接触する必要があるものの、構造が単純なので故障しにくいと考えられ、電池切れの心配もなく、導入コストもより低く抑えられることが予想される。

 このようなシステムが実証され普及することにより、子どもの登下校を安心して見送ることができるようになる日も、そう遠くないのかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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