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文部科学省は先月30日、法科大学院教育の質の向上のための改善方策〔中間まとめ〕(PDF)を公表した。大きな柱は、入学者の質と多様性の確保、修了者の質の保証、教育体制の充実、質を重視した評価システムの構築となっている。
そもそも法科大学院は、これからの法曹人口の増加にそなえるため、大学の法学部だけでは担えない法曹養成専門機関として設置された。旧司法試験が予備校頼みのテクニック重視型の試験になってしまっているとう批判も設置の背景にあったといわれる。
社会人経験者などを含む多用な人材が法科大学院で学べる環境をつくることで、法曹の質、量ともの充実をはかるというのが一つのねらいだったが、中間まとめにもあるように志願者総数は初年度(16年)の72、800人をピークにそれ以降17〜19年度は4万人台で推移している。そのため、一部大学院では少しでも院生を確保するため、かなり容易に入学できるようになっているという。
初年度は48.4%にのぼった社会人入学者も30%前後に減少している。今回のまとめの「入学者の質と多様性の確保」はこれらの点の改善を目指したもので、定員数の絞込みや適性試験の結果が一定水準を満たさない志願者を合格させないようにするよう求めている。
そもそも、法曹人口を大幅に増やすという大前提で始まった法科大学院制度だが、早速、司法試験の合格者が以前より増えたことで法曹の質の低下を懸念する声もある。また、当初は7、8割といわれた合格率も初回の18年度は48.35%、19年度は40.18%と予定を大きく下回っており、この数字を見ればこれから志願者が増えることはなかなか考えられないだろう。法科大学院の設置目的は司法試験合格のためだけではないとされているが、やはり合格率の低い大学院は統廃合など厳しい状況にさらされることが予想される。