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広がる中高一貫校、全国で370校に―文部科学省調査
kyoikujin
2009/9/10 掲載

 文科省は、全国の中高一貫教育校設置状況など、高等学校教育の改革に関する推進状況を7日に公表した。平成21年4月現在、中高一貫教育校は前年より33校増えて370校。平成22年度以降も、33校の設置が予定されているという。

 中高一貫教育制度は、中等教育の多様化を目的として平成11年度より制度化されたもので、最終的には、全国に500校を設置することが目標とされている。
 制度化以来毎年増加しているが、中でも私立の併設型校の増加が著しく、過去3年間で新設校の約7割にあたる100校が設置された。現在、私立の併設型校は183校、中高一貫教育校の約半数を占めている状況だ。

 一方、公立校も44の都道府県で計166校が設置されている。特に公立中学離れが進む首都圏で年々人気が高まっており、東京都教育委員会の資料によると、平成21年度の受検倍率は平均8倍という高倍率だった。現在都内には公立の中高一貫教育校が7校あるが、平成22年にはさらに4校が追加される予定だ。
 人気の理由は、私立よりも安い授業料で6年間を通じた効率的な進学指導など特色のある教育が受けられることだが、選抜試験の難関化や6年の間に生まれる学力の差への対応など、従来の高等学校にはない課題もあるようだ。
 5日の朝日新聞の記事によると、千代田区立九段中等教育学校では中学段階を終えた1期生のうち、1割が学力不足などにより高校段階に進まず転学を勧められたとのこと。これらの問題を受け、中央教育審議会では中高一貫教育の検証を始めるという。

 制度化から10年が経過し、広がりをみせている中高一貫教育校だが、今後はその入試選抜のありかたや成果が問われていくことになりそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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