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参加者1000人の熱気に包まれた!第12回基幹学力研究全国大会
教育zine編集部矢口
2011/8/19 掲載
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  • 指導方法・授業研究

 去る8月10日、11日の2日間、筑波大学附属小学校において、「新学習指導要領と基幹学力―思考力・表現力の『幹』が見える授業づくりの在り方」をメインテーマに、第12回基幹学力研究全国大会が開催された。
 猛暑の中、全国から過去最高となる1000人弱が集まり、メイン会場となった同校の講堂は参加者の熱気に包まれた。

マッチ棒の本数の求め方を一般化する算数授業

 10日午前に行われた盛山隆雄教諭による「変わり方」(4年)の授業は、2量の変わり方の様子(きまり)や式に着目して、正方形に並べられたマッチ棒の本数の求め方を一般化するというもの。
 子どもたちからは、図や式を相互に関連付けながら、様々な本数の求め方が発表され、それぞれのよさを比較していく中で、最後に言葉の式を用いて本数の求め方が一般化された。
 この授業で用いられた、正方形に並べられたマッチ棒の本数の求め方を一般化する教材は、中学1年の「文字と式」においてもよく取り上げられるもので、小中学校間の学習の接続やスパイラルな学習指導を考える上でも示唆に富んだ授業となった。

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多くの参観者を前にしても物怖じせず発表をする子どもたち。(写真は夏坂哲志教諭の授業) 授業後の研究協議会。ときにはパネラーや会場から厳しい意見が出されることも。

学習指導要領改訂のキーマンが登壇したシンポジウム

 午後に行われたシンポジウムには、田中博史(算数)、二瓶弘行(国語)両代表とともに、今次の学習指導要領改訂のキーマンとも言える、梶田叡一氏(環太平洋大学学長)と清水静海氏(帝京大学教授)が登壇し、大会のメインテーマである「新学習指導要領と基幹学力」について、様々な議論が交わされた。
 新学習指導要領下における学習評価の在り方から、単元を見通した教材研究・指導計画作成の重要性など、話題は多岐に渡った。

算数と国語のコラボレーションによる新たな取り組み

 11日午前の田中博史教諭の講演では、「ただ話すだけの算数授業からの脱却」と題し、同教諭が研究を進める、『「板書見ながら」算数作文』の取り組みが紹介された。
 この取り組みは、算数の授業を、その板書を足がかりとして、次時の国語の授業の中で子どもが作文として再現していくというもので、授業や板書の仕掛け、年間を見通した取り組みの計画、子どもの作文の評価のポイントなどが示された。
 短時間のうちに4〜5ページもの作文を次々に書き上げていく子どもたちの姿をとらえた動画には、会場からため息が漏れた。

1年生による文学作品の『語り』

 午後には、二瓶弘行教諭の代表的な実践ともいえる『語り』を中心に据えた文学作品の入門期の授業が公開された。
 菊田まりこ作『いつでも会える』を学習材として、中心人物「しろ」の気持ちの変容を考えた後、子どもによる『語り』が行われ、1年生とは思えない迫力と表現力に、会場からはこの日一番の大きな拍手が起こった。
 また、授業後の研究協議会では、今後の課題として、作品とのかかわり、『語り』を行う子どもとそれを聞く子どものかかわりをどのように深めていくかが提起された。

 なお同研究会では、10月29日(土)に福岡県福智町立市場小学校において4回目となる地方大会を、2012年2月18日(土)には13回目の全国大会をそれぞれ開催の予定だ。

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