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20日の読売新聞の記事では、小学5年生で習う「小数のかけ算・割り算」を、6年生の半分近くが理解できていないことがわかったと伝えている。記事によると、「□×1.2」や「□÷1.3」といった4つの計算式から、式の答えが「□」に入る数字より大きくなるものを選ぶという問題の正答率が低く、45.3%と半数以下だった。一方、小数のかけ算・割り算を単純に計算する問題の正答率は高い傾向にあったとのこと。
これは、国立教育政策研究所が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を、2007年から2010年までの4年間を通して分析した結果である。
同研究所では東日本大震災によって中止となった2011年を除き、毎年の全国学力テストについて分析を行っている。2012年の調査結果(PDF)について、小中学校とも各教科の課題を個別に見ていくと、
国語では、
小学校:グラフや表に含まれる情報を正確に読み取った上で、話したり書いたりすること
中学校:相手の発言を注意して聞き、自分の考えを具体的に書くこと
算数・数学では、
小学校:方法や理由を言葉や数を用いて記述する際、場面の状況や問題の条件に基づいて、必要な事柄を過不足なく記述すること
中学校:数学的に表現したり、数学的に表現された事柄を読み取ったりすること
理科では、
観察・実験の結果などを整理・分析した上で、解釈・考察し、説明することなどに
課題が見られる。
と、各教科で与えられた文章や図を読み解く読解力について課題があることがわかる。それを踏まえると、冒頭に挙げた「小数のかけ算・割り算」も、設問が何を聞いているかそのものを正確に把握できていないことが考えられる。
教育政策研究所では今回の調査結果を受け、全国の教員を集めた指導改善のための説明会を開催したり、ホームページ上に,調査結果から有効と思われる授業のアイディア例を提示するなど、分析結果を現場にフィードバックすることに努めている。
全国学力テストについては毎年、県別の順位等、結果についてはニュースで大きく取り上げられる。しかし本来の目的を考えれば、そうした結果に一喜一憂するのではなく、調査結果を活かし、今後何を改善する必要があり、そのためにどういった方法が考えられるか議論を深めていくことが、より重要ではないだろうか。
