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新学習指導要領・国語における「情報の扱い方」とは?
教育zine編集部 木下
2018/3/31 掲載
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  • 学習指導要領・教育課程

 国語科では、新学習指導要領の「知識及び技能」に、新たに「情報の扱い方に関する事項」が加わりました。この事項では、どのような指導が求められているのでしょうか。
 今回は小学校にスポットを当てて考えます。

導入の背景

 文部科学省から提示されている小学校学習指導要領解説国語編によると、「情報の扱い方」に関する「知識及び技能」は国語科において重要な資質・能力の一つであり、指導の改善・充実が必要と述べられています。
 その背景には、情報化社会である現代において、膨大な情報の中から必要な情報を取捨選択して得ることや、情報同士の関係を捉え自分の発信したいことを表現する力が求められていることがあります。
 さらに、中央教育審議会答申では「教科書の文章を読み解けていないとの調査結果もあるところであり、文章で表された情報を的確に理解し、自分の考えの形成に生かしていけるようにすることは喫緊の課題」と指摘されています。
 このような背景を踏まえ、「情報の扱い方」を学ぶことは、話や文章を理解する力や、話や文章で適切に表現する力を育成することであるとし、国語科として必要な資質・能力の一つとして明示されることになったのです。
 学習指導要領では、次のような事項を身に付けることができるように指導することが示されています。

・第1学年、第2学年
ア 共通、相違、事柄の順序など情報と情報との関係について理解すること。
・第3学年、第4学年
ア 考えとそれを支える理由や事例、全体と中心など情報と情報の関係について理解すること。
イ 比較や分類の仕方、必要な語句などの書き留め方、引用の仕方や出典の示し方、辞書や事典の使い方を理解し使うこと。
・第5学年、第6学年
ア 原因と結果など情報と情報との関係について理解すること。
イ 情報と情報との関係付けの仕方、図などによる語句と語句との関係の表し方を理解し使うこと。

 「情報と情報との関係」に関する事項(ア)と、「情報の整理」に関する事項(イ)という二つの系統に分けて示されています。

どのように指導していくか

 国語科は、言語活動を通して資質・能力を育成することを教科目標として掲げています。よって、情報の扱い方に関する事項も言語活動を通して育成するものと捉えることができます。
 気をつけなければならないことは、「方法」を学ぶものではないということです。例えば、第3学年第4学年では、「引用の仕方や出典の示し方」、「辞書や事典の使い方」を理解し使うことが挙げられていますが、引用や出典、辞書や事典の使い方について方法をただ教えるだけでは、子どもの資質・能力を育成することは難しいでしょう。
 「情報の扱い方」を単独で考えるのではなく、思考力、判断力、表現力の各事項と関連づけて、言語活動を通してどのような資質・能力を子どもに身に付けさせたいか明確化することが必要です。
 言語活動においては、子どもが目的や必要性を感じられる課題を設定することがまず求められます。そして、教材文の文章理解などを通じて得た知識を使って、自分自身で思考判断し、表現して課題を解決することで、「情報の扱い方」が生きた力として身につくと考えられます。
 また言語活動においては、子どもたちの能力にあった関連図書などを意図的に用意することなど学習環境をあらかじめ準備することも重要となります。
 目的や必要性のある課題を、計画された学習環境のもとで取り組むことで、質の高い言語活動を生み出すことができます。そしてその質の高い言語活動を通して「情報の扱い方」に関する資質・能力が育っていくのです。
 このように考えると、「情報の扱い方」は新設されたものではありますが、現行の言語活動を通じて既に取り組みがなされているのではないかと考えられます。「情報の扱い方」は決して新しいものではなく、今までに実践されていることが明文化されたと捉えてもよいのではないでしょうか。

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