- 教育オピニオン
- 社会
一 参観日の授業と研究授業の違いは何か?
まずは先輩の苦言から……。
参観日の授業と研究授業は似て非なるものである。そのことが分からない若手の先生が意外と多い。
どちらも他者に自分の学級の授業を公開する。だからこそ学級のすべての子どもが活躍する授業づくりを目指す。この2点だけを見れば、参観日の授業と研究授業は酷似している。けれども両者には決定的な違いがある。それは研究授業が文字通り“研究”を目的として特別に組まれた授業であるという点である。
だから、時々、先輩と若手との間でこんな会話が交わされる。
先輩:授業の流れは分かるけど、この授業で何をやりたいの?
若手:何をやりたいって、それはどういうことですか?
先輩:もしこの指導案で授業をやればうまく流れそう?
若手:はい。きっとうまくいくと思います。
先輩:だったら、この授業は参観日にでもやったら。わざわざ研究授業でやるまでもないよ。
これに対して若手の不満は……。
いきなり「何をやりたいの」と問われても、どう答えていいのか分からない。そもそも研究授業って何。そんな戸惑いの声が聞こえてきそうである。
二 本時の授業課題を絞り込むことが大切!
先輩と若手の言い分のズレ。それを解消するとっておきの解決策が、本時の授業課題を絞り込むことである。
研究授業とは、今問題となっている教育課題・指導上のある事柄について、「こうすれば、こうなるはずだ」という授業仮説を立て、それを具現化する学習指導案を提示。子どもの姿を通してその学習指導のプランの有効性を検証する授業のことであろう。
つまり、研究授業の学習指導案には、例えば「工場の見学カードの中から『おいしさのひみつに直接つながるカードはどれか』を吟味・検討し合う言語活動を行えば、工場で働く人の立場で工夫や努力を考えることができるだろう」といった本時の授業課題が必要不可欠なのである。そのことを先輩が若手に教え、授業課題を絞り込む指導案研修を進める必要がある。
社会科教育2011年6月号より転載
![](/common/img/banner/merumaga_w655h70.png)