- 教育オピニオン
- 学級経営
一 ルールとマナーの区別をする
学級に必要なルールとは何か、を考えるときルールとマナーの区別をしなければならない。
いうまでもなく、ルールは普遍的なものである。どの国に行っても通用しなければならない。
一番わかりやすいのは信号の色の赤、黄、青である。また、消防車や救急車の色などがある。
もう一つは、法とスポーツの規則が状況に応じて変わっては社会は混乱し、スポーツは楽しくなくなる。
一方、マナーはその集団に属するものが共通に行う行動様式である。
冠婚葬祭の時に着る服装が浮かぶ。結婚式の時、黒のネクタイをしていかないし、葬式の時に白のネクタイをしていかない。 また、食事マナーという言葉があるように食事の時の行動様式を考えるとわかりやすい。
一時期、学校給食で先割れスプーンによる「犬食い」が多くなり、箸の導入で日本人の食事作法が見直されたこと、がある。
特定の集団で固有に行われている行動様式がマナーである。だから、郷に入れば郷に従えという諺が生きてくる。
二 学級に必要なルールは何か
学級には学校(教師も含む)が決めるルールと学級の構成員が決めるルールがある。年間の授業日数とか時間割は学校が決める。学級はそれに従わなければならない。
だから、学級が決められるルールは担任と子どもたちが活動する上で欠かせないものになる。しかも、その学級だけに通用するマナーでなく、他の集団にも通用するルールでなければならない。
それは何か。簡単にいえば、学級集団で生じる問題を解決する仕組みである。
例えば、学級でいじめが生じたとする。こうした状況は見過ごすことができない。何とか解決させなければならない。
この問題解決のルールは二つある。
一つは提案するルールである。いじめを何とかして解決しようとする行動を認める規則である。例えば、目安箱を設置する、いじめの実態を調べるアンケートを実施する、学級会を開くなどのことが考えられる。
これは政治の世界では立法的な役割を果たすものである。問題を発見し解決の道筋を立てるルールである。
もう一つは解決するルールである。これは立法的というより行政的であり、司法的なものである。
いじめの実態が事実としてはっきりしたら、これからは二度といじめをしないと誓わせる。そして学級の総意としていじめ撲滅運動をすすめる。また、教師が相談役になったり、検事役になりいじめの解決を担うこともあり得る。
学級に必要なルールは、子どもたちが安全で安心して過ごせる空間を維持できるものでなければならない
授業力&学級統率力2011年6月号より転載