教育オピニオン
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何でも科楽でいいじゃない!
じゅくFORZA科学教育研究所主宰岡田 晃次
2011/7/12 掲載

「これって何かに使えそう」がいいじゃない!

 とある情報番組を見ていたときのこと…。
 「なんとこのボールペン、書いた字が消せるんです! こうやって書いて…、そのあとでボールペンの後ろについているラバーでこすると…。ほら、消えちゃうんです!」「すご〜く便利」「はい、このボールペンの秘密はインクにあるんです! ある温度になると色が消えてしまう特殊なインクを使っているんです。だからほら、裏のラバーでこすると摩擦熱で消えてしまうというわけです!」
 あらあら、こんな情報を提供されてしまうと、感度ビンビンの『科楽アンテナ』が強烈に反応し始めちゃうじゃないですか。あっ、ちなみに私の科楽アンテナの受信状態はと言いますと…、「どんな科学の原理なんだ」だけじゃなくて、「これは子どもたちとの活動に使えないか?」とか、「これをおもしろく使う方法はないか?」とか、「学校の理科実験には使えないか?」とか、そんなことを探っているわけでして…。
 そんなこともあり、この情報を得た瞬間に、
 フリクションボールペン
⇒熱で色が消える
⇒熱や温度に関する実験に使える?
⇒とある小学校の先生が熱の伝わり方の実験で苦労していると言っていた
⇒60℃で色が消えるし、蛍光ペンタイプもあるらしい
⇒銅版に紙を張り、そこにフリクション蛍光ペンで1本ラインをかけば、熱源から徐々に色が消えていく様子を観察できるのでは?
⇒しかも安いし、お手軽!
という連想ゲームが一気に加速してしまうというわけです。
 ま、一種の職業病かもしれませんね。ちなみに皆さんはどうですか? たぶん、私と同じように様々なアンテナをビンビンにさせている先生も少なくないでしょうね。

思い立ったら即行動! 近くにあったアルミ板と電子ライターで予備実験開始。
おっ、うまいこと徐々に色が消えていく…。やっぱりこれは使えそうだぞ!
(※実験の際には、火気に十分ご注意ください)

「これっておもしろそう」だけでもいいじゃない!

 ただ、受信した情報をすべて消化できるわけではありませんし、ましてや小中学生が簡単に理解できるようなことばかりでもありません。
 でも、大切なのはそんなことではないと思うんです。自分自身が「これっておもしろそう」って思った、その感覚こそが一番大切にすべきものだと思うんです。だから、ときには理論などは後回しにしたとしても、自分がおもしろいと思った気持ちを子どもたちに「ど真ん中に」「ストレートに」伝えていくことも必要だと思うんです。だって、先生というのは知識や経験を伝えるだけの職業じゃないんですから。

試行錯誤を繰り返せば、3cm×15cmの工作用紙でさえ歩き出す。
摩擦、重力、重心、面積などなど科楽の要素が満載の活動です!

教科書や教科を飛び出したっていいじゃない!

 でも…、得てしておもしろそうなものは教科書で扱われていない分野だったり、学年をまたいだ内容だったり、他の教科が絡んできたりしますね。ただ、それって当たり前のことですよね。世の中は様々な事象が網の目のように絡み合ってできているわけで、それらを一つひとつひも解いて細分化したものが教科書の1つの分野だったりするわけですから。
 となると…、どこでどう扱ったらいいものか?と悩んでしまうかもしれませんが、それは余計な悩み事だと私は思います。
 どこの分野でもいいじゃないですか! ちょっとでもその分野にかすっていれば。 
 それに、理科ネタであっても、算数がちょっとでも絡んでいるなら算数の授業で取り上げていいじゃないですか!
 それと、授業中にこだわらなくたっていいじゃないですか! 休み時間でも、朝の会や学級活動のときでも。
 それから、あからさまじゃなくてもいいじゃないですか! さりげなく、教室の隅に置いておくだけでも。必ずだれかがそのおもしろさに気付き、それが次から次へと教室内へと広がっていくでしょうから。

 さあ、今日も多くの子どもたちが待っています。そして、その子どもたちの目をキラキラと輝かせるためにも、まずは先生自身の目をキラキラと輝かせてください!

岡田 晃次おかだ こうじ

1969年千葉県野田市生まれ。じゅくFORZA科学教育研究所主宰。『数学教育』2011年4月号より「何でも数楽でいいじゃない!」を連載中。「スーパー父ちゃん」になることがよい指導者になる近道と信じて疑わない2児の父。現在中2になる娘が生まれたのを機に「この子と楽しい活動ができたら…」と考え、人生を180度方向転換し現在に至る。最近は外国語教育のあり方を考えるため、イタリア語を楽しく独学中。

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