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「困った子ども」は、実は「困っている子ども」
子どもが授業中におしゃべりを始めたり、ぼんやりとやる気がない態度をとったりしたとき、その子をどのようにとらえるでしょうか?
“ダメな子どもだな”“落ち着きがないな”“やる気がないな”と判断するでしょうか? それとも、“この子はいま何かに困っているのかな”“先生としてできることは何かあるかな”“授業の何を変えればよいのかな”と考えるでしょうか?
先生が子どもを、前者のように「困った子ども」ととらえるのか、後者のように、「困っている子ども」ととらえるのかによって、その後の子どもの成長は大きく変わります。
先生が子どもを「困った子ども」ととらえてしまうと、その子はますます「困った子ども」になっていきます。その反対に、“本当はできる子どもだけど、今は何かに困っていてできていないだけ”と考えると、前提としてはその子を「できる子ども」と認めているので、困っている原因を一緒に解消することに注力でき、結果的に子どもは伸びていきます。
このように、先生が子どもをどのようにとらえるのかということは、とても大事なことです。
“当たり前のこと”を認めるということ
子どもは、今よりもっとよい姿に成長したいと思っています。しかし、どうやったら自分がよりよく成長できるのかがわからない子どもも多くいます。そこで、先生が日常できる手助けとして、“当たり前のこと”を認めてあげることが大切です。
よく、“しかるよりも、ほめる回数を多くしましょう”といわれます。しかし、ほめ方のコツを知っていないと、子どもをほめるのは案外難しいことです。子どもが目に見えて成果を上げたときだけほめようという構えでいると、あっという間にしかってばかりの先生になってしまいます。だからこそ、毎日の生活の中で、“当たり前のこと”を認めてあげることが大切なのです。
“目に見えたこと”をそのまま言葉にして伝える
では、“当たり前のこと”を認めるとは、具体的にどうすればよいのでしょうか?
まずは、“目に見えたこと”をそのまま言葉にして子どもに伝えてみてください。
「今週は○○さんが給食当番なんだね」
「お〜○○くん、重い食器運びおつかれさま」
「今日は○○さんが配り係やってくれるんだね」
こんな何気ない一言ですが、意識していなければなかなか口に出して伝えることはできません。そして、これだけのことでも、“あなたのことを見ています”“関心を寄せています”というメッセージを子どもに伝えることになるわけです。
実は、人間にとって一番イヤなことは、しかられることではなく、無視されることです。“目に見えたこと”をそのまま言葉にして伝えることはその正反対で、それだけでも、子どもの成長の大きな手助けになります。
地道なことですが、こんな子どもの認め方を続けていくことで、先生と子どもの信頼関係は強まり、様々な指導がしやすくなっていくはずです。