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3学期になり今の学級で取り組む題材も少なくなってきました。筑波大学附属小学校図画工作科3名の実践から、協働的に取り組める図工題材ネタを低・中・高学年で1つずつ紹介します。
低学年・最新モードコレクション!(実践者・仲嶺盛之)
材料 4つ切り色画用紙
道具 ステープラー/はさみ/セロハンテープなど
授業の流れ
1. 2枚重ねの紙を切ると、同じ形が2つできることを確認する
2. ステープラーで綴じた2枚重ねの4つ切り色画用紙に切り込みを入れる
3. 開くとシンメトリーの形になった美しい立体的な形をつくる
4. 3を頭からかぶり身体と一体化させ、自分なりのテーマを決める
綴じた色画用紙を2枚重ねることで、シンメトリーの形になります。紙の切り離しはしないようにさせると偶然性も伴い、思いもよらぬ形を頭からかぶることで、形の心地よさを生かしていく姿。自分と作品を同化させイメージを広げていく姿など、一人一人の生み出した形の面白さを、「○○のようだね」などと、教師もともに味わうように具体的に声掛けをしてあげるとよいでしょう。互いの後ろ姿など仲間とともに声を掛け合いつくったり、チームとしてのテーマを思いついたりする子もいます。大いに励ますとよいでしょう。
中学年・からだで影絵(実践者・北川智久)
材料 OHPシートか透明のPP袋/色セロハン
道具 OHP(代用:プロジェクター、ハロゲンライト等)/白い布かビニールの幕/油性マーカー
授業の流れ
1. 影絵の身体表現のVTRを観てイメージをもつ
2. グループをつくって、グループごとに影絵の試し遊びをする
3. グループごとに簡単なテーマを決めて影絵づくりを試し、修正しながら影絵づくりを追求する
4. 発表会や撮影をして、みんなで見合い、よさを認め合う
めあてとして、「かげをたし算、考えをたし算しよう」としました。例えば、独りでキツネの影をつくっているだけではだめです。友だちとキツネの群像をつくるのは一歩進んだ姿です。山、ススキ、お地蔵さんもつくろうと、友だちと影や考えをたし算しながら表すことが大切です。「それじゃあこうしよう」と新しく提案したり、「こういう方法もある」と影の形や動きを示しながらの対案を出したりする学びの姿勢が大切です。影絵の結果としての出来栄えばかりでなく、学びの過程をつぶさにみとってあげられることが重要です。
高学年・箱ちゃんの意外な展開(実践者・笠雷太)
材料 マッチ箱/身辺材料(色紙のリサイクルなど)/台紙用画用紙または色画用紙
道具 タブレットPC/アプリ「ストップモーションスタジオ」/タブレット固定用具
授業の流れ
1. アニメーションを見て、続きの意外な展開についてアイデアを出す
2. 自分と似た発想の友だちグループとアイデアを話し合う
3. 2をもとに友だちと試行錯誤しながら「箱ちゃんの意外な展開」をアニメーションで表す
4. 途中作品を鑑賞しアドバイスを送り合う
5. 修正や終わり方について個々に考えを書き、さらにグループで試行錯誤しながら箱ちゃんの意外な展開を表す
6. 鑑賞会をする
上の写真の共通のはじまりのアニメーションから、子ども一人一人が、箱ちゃんが「増える」「旅をする」など意外な展開を考えたワークシートに書きます。これは発想の第一段階として評価します。似たような発想をもった子どもたちでグループを組み、話し合いながら方向性をすり合わせて作品をつくっていきます。友だちとかかわりながら活動を楽しみ、よりよいものを目指そうと意欲的に取り組む姿を大切にしましょう。途中過程での「他のグループへのアドバイス」や、そのアドバイスを受けての「終わりかた」について個々の考えを書きます。グループ活動では、こうした一人一人の思考の視覚化が大切です。
相互鑑賞、グループ活動を通じて、子どもたちの協働的な学びが深まる3つの題材を紹介しました。
ぜひ、図工の時間に取り組んでみてください。