- 教育オピニオン
- 学級経営
はじめに
学級も残り1か月。子どもたちとともに様々な経験を積み重ねてきました。その1年間のラストをどう締めくくるのかは、教師にとっても子どもたちにとっても重要なことなのです。
僕はソフトランディングをお奨めします。1年間過ごしてきて身についたことをそのまま大切にして、子どもと教師との関係や子ども同士の関係も、大きく改善することも難しいので、そのまま無理なく1年を終えるという発想です。何かを工夫してもうひと頑張りし、さらなる飛躍を求めるというのは、この時期には合いません。なぜなら、残り1か月になってから何かに力を入れたら、これまでできなかったことが急にできるようになる等ということは、あり得ないからです。11か月かかってできなかったことを、ちょっとやり方を変えただけで、1か月でできるはずがありません。
子どもたちと1年間過ごしてきた教師は、子どもに対する情が厚くなります。「もう少しなんとかしてやりたい。」と思う気持ちが強くなるのは、当然のことです。
しかし、それは教師側の論理であって、子どもからすれば、急に目の前のゴールを動かされるようなものですから、反発したり不信に感じたりしかねません。
では、どういうことを考えていけば、ソフトランディングになるのでしょうか?
1 学級目標は達成したのか
年度の初めには、どのクラスでも学級目標を掲げます。では、1年間の総括として、どの程度その目標が達成できたのかを確かめているでしょうか。計画の立てっぱなしになっていないでしょうか。
子どもたちと一緒に振り返って、できていないことは、どうしたらいいか。後少しの短い期間に努力できることはないか等、考え合うと良いでしょう。教師が指摘するよりも、子ども一人一人が考える形をとる方が良いと思います。
そうすることが、子どもたちにとっても、教師にとっても、次年度へ向けての思いが持てる機会になるでしょう。
2 基礎学力の再復習
これまで学んできたことを、もう一度復習して、力をより確かなものにしましょう。
例えば、新出漢字等は、ほとんど学び終わっているはずです。既習の漢字を使った楽しい復習学習を工夫して、知らないうちに子どもたちが力をアップできるようにしましょう。
僕は「画数セブン」というものをしていました。その学年で習った漢字を全て取り出して、7つずつ画数の違う組に分け、「次の7つの漢字を画数の小さい順番に並べてワクに書きなさい。」というのです。
子どもたちはゲーム感覚で取り組みます。1つの漢字を空書きやなぞるなどして画数を確認し、ワクに書いていきます。一度に2回はその漢字を書くことになります。
そのほかにも、漢字ビンゴを作るなりして、復習なのだけれども、楽しくできるようにするのです。復習って、聞いただけで拒否反応を示す子どもがいますからね。
単位換算カルタなどもいいでしょう。例えば、「4分の1m」と「25cm」と「0.25m」と「2500mm」というようなカードを作り、裏向けて同じ量を見つけて取り合うトランプの神経衰弱ゲームのようにします。平方キロ、ヘクタール、アール、平方メートルでも作れます。いくらでもこうしたカードは作ることができるでしょう。
復習しながら、いろいろな人たちと交流できる場にできます。
3 最後の学級通信の作成
学級ではいろいろなことが起こります。良いことも悪いこともあります。先生がうまくいかなかったと思うこともあるでしょう。
しかし、最後の学級通信では、保護者のみなさんに対して、感謝とお礼の言葉を載せるべきです。教師の仕事は決して一人ではできません。(できていると勘違いしている方はおられますが。)
できなかったことについては、
「力が足らずにご迷惑をおかけしたこともあるかと思いますが、いろいろとご協力いただいて感謝しています。」
と書くべきです。
そして、子どもたちについては、否定的なことは書かずに、良かったことだけを載せましょう。通信はそのままずっと残ります。いつか大人になった子どもたちが改めて見ることもあると心して書きましょう。
子どもたちの未来へ向けた期待のこもったメッセージで通信の最後をしめましょう。