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「ピョンチャンオリンピック・パラリンピック」での日本選手のすばらしい活躍に多くの国民が大喝采を送った。また、各選手の記録・順位はもちろんのこと、その表情やコメントにも多くの人が思わずうなずく場面もたくさんあったに違いない。
ここでは、「ピョンチャンオリンピック・パラリンピック」を改めて思い浮かべながら、「オリパラ」教育の中身について考えてみたいと思う。
1.男子選手が300m走る間に、スピードスケート女子選手は500mも滑っている
小平奈緒選手が「ピョンチャンオリンピック、スピードスケート女子500m」で見事な金メダルを獲得した。そのタイム「36秒94」は、オリンピック新記録でもあった。
この小平選手の快挙のしばらく後に、陸上競技400mの一線級選手であった大学陸上部の先輩が『「36秒94」は、練習での300mタイムトライアルでの目標記録に近いタイムである。自分たちが300m走っている間に、小平選手は200mも先の500mを滑っている…』という、コメントを我々陸上部仲間に送ってくれた。「なるほど、面白い比較だな…!」と思った。また、高木美帆選手のスピードスケート女子1,500m銀メダルのタイムの「1分54秒55」は、陸上競技男子800mの一線級選手のタイムに近いものでもある。
このように、スケートや陸上競技はタイムや記録が測定されることから、「走る、跳ぶ、投げる」に「滑る」なども加えて、記録やタイムを比較することも「オリパラ」教育への興味を高める1つの手立てになると思われる。
2.授業づくりに「一手間かけること」で、児童生徒にも一流選手に近い経験ができる
さらに、小学校では、小平選手の「36秒94」を手がかりに、次のようなリレーの実践も可能である。
小学校高学年の50m走タイムの平均は、おおよそ9秒前後である(50m走では、小5男子は9秒3、小5女子は9秒5、小6男子は8秒8、小6女子は9秒1が、おおよその平均タイム―平成27年度スポーツ庁調査結果から)。
そこで、「4人×50m=200mリレー」で小平選手の「36秒94」に勝てるかどうかに挑戦することも検討できそうである。走る順番やバトンパスなどを工夫することで小平選手の記録を突破することができるかという「リレーでの目標記録の提示」で、児童のリレーへの意欲を高めることができそうである。
実は、この「4人×50m=200mリレー」では、さらに面白そうなチャレンジを考えることができる。
我々は、小学校高学年になると「4人×50m=200mリレーのタイム」が「4人の50m走の合計タイム」よりも速くなるということを授業実践で示してきた。
この「リレータイムとリレーメンバーの短距離走の合計タイムとの差」に注目したいのである。
陸上競技での「4×100m=400mリレー」の日本記録は37秒60であるが、そのリレータイムは4人のリレーメンバーの100mの合計タイム(日本記録樹立の時まで)よりも「2秒78」速いのである。
そこで、小学校高学年以上の学年での「4人×50m=200mリレー」でも、この「タイム差2秒78」に挑戦してみたらどうであろうか。
一流選手のタイムや記録のすばらしさ、すごさを知ると共に、授業づくりに「一手間かけること」で、児童生徒にも一流選手に近い経験ができることも知ってもらいたいと思う。
「オリパラ」教育の中身は多様に検討できようが、陸上運動・競技の授業での実践的な取り組みに期待したい。