「小学校高学年の教科担任制を2022年度から導入」の発表がされてからの各小学校は、行政等の支援を受けて教科担任制を実践する学校、年間指導時数がほぼ同じ理科や社会で交換授業や教科担任制などを取り入れている学校、全く何も手をつけていない学校に分類することができます。皆さんの小学校は現在、どの段階の学校でしょうか。2022年度の導入に際して児童の側に立った教科担任制(算数、理科、英語、体育)を自信もってできる体制が構築されているでしょうか。次の3点に渡って推進の方向性を認識して自校の在り方を考えてもらいたいと思います。
1 教科担任制の目的と概要
教科担任制を取り入れる際に4つの役割を理解して実践してもらいたいと思います。
(1)高度な基礎知識を指導することで学力向上に資すること
小学校の先生方は、小学校全科として採用されていて中高の専門性の免許を保持していない場合が少なくありません。したがって、教員の状況にもよりますが授業力があり、専門教科の指導性を発揮することができる教員が適任とされます。
(2)複眼的な評価ができ児童理解度を高めること
より多くの教員がかかわることで、これまで以上に児童理解が進み、一人一人の良さや課題を共有する機会が増え、学年担任としてのチームマネジメント力が高まることが推測でき、特に生徒指導的な面での果たす役割が大きくなります。
(3)中一ギャップの克服ができること
小・中学校の連続性の中で教科担任制を高学年から実施することで、より専門性のある教師からの指導の日常化、習慣化が中一ギャップの克服につながります。より高度な知識を習得することで学びのレベルアップを図ることができます。
(4)教師の働き方改革に資すること
教科担任制の導入によって、これまで全教科で教材研究に取り組んできた時間を単一教科に集中して取り組むことが可能となります。学校規模にもよりますが、授業をより学年で連続して実施することが日常化して時間的短縮が可能となります。
2 管理職の心がまえ
管理職として次のことに視点をあてて学校運営にあたりたいところです。
(1)教科担任制の4つの役割の認識レベルをあげること
(2)教員の当事者意識を高めて学校ビジョンとして推進すること
(3)学校規模に応じた教科担任制を構築すること
(4)4教科の授業改善の日常化を含めた全教科での指導向上を目指していくこと
(5)高学年の担当教諭の固定化にならない配慮をすること
(6)学校としての人材育成の視点を明確にした教科担任制にすること
(7)自校での現有勢力にて教科担任制が実施できる体制を構築すること
(8)教科担任制の実施教科の評価観の調整をしておくこと
(9)児童にとっての教科担任制を構築すること
(10)保護者への説明を十分して教科担任制の理解を深めていくこと
特に、4教科を誰が担当するかによって学校の命運が左右されることとなるので、現段階から教科担任制の運営を円滑にできる準備をしておきたいところです。学校規模が大きいほど時間割作成に教務の負担が大きくなることへの配慮もする必要があります。
3 学級担任の心がまえ
学級担任としては、自己が高学年の担任として教科担任制を推進できる力量を資するようにそれぞれの教科の授業改善をしていくことが不可欠となります。誰もが高学年の担任になりうる学校体制を構築していかないと教師の担当学年が一定の学年となり、卒業生をもつ学年の担任にはなれない不都合が生じることとなります。これまで、全教科型で指導してきた小学校教師の在り方を大きく転換していく教科担任制です。2022年度からの導入が児童の学力向上に資することを大前提にした取組をしてもらいたいと思います。
2022年度の導入まであと半年となっています。各校では,自校の教科担任制への取組がどの段階なのか、何から共有すべきなのか、誰もが高学年の担任になれる体制が構築されているか、教師の人材育成に滞りはないか等を確認して、教科担任制の舵取りを明確にした実践が急務となります。そのためにも、今の段階から準備力を発揮して2022年度を迎えてもらいたいです。
専門性をもった教員の配置とともに、教材研究の時間を十分に確保するために、スクールサポートスタッフ等のさらなる拡充を望みます。
一番思うことは、教科担任制が導入されることで学校文化の変容が観られることが予測されます。今までの学級担任制での児童と教員の関係に少なからずの変化が見られると思います。児童に関わる教員が増えることによって、職員室の話題にも変化が見られるでしょう。場合によっては、児童や学級集団への対応について意見の違いが見られることもでてくると思います。そのような学校の変化を予測して、リーダーやミドルリーダーは教科担任制の準備をすることが必要になると思います。
中学校は小学校の良さを取り入れる。小学校は中学校の良さを取り入れる。そのことの可能性が今まで以上に期待できる小中連携を構築する必要性も出てくるでしょう。
単に児童への指導形態が変わるというだけではないように思います。
より専門的にそして、教科としての縦のつながりをスムーズにするためにも算数の教科担任制は素敵だと思います。
小学校時代から専門性のある教師から学べることのメリットは大きいように思います。
小学校教員で体育指導に苦労している方もいっらしゃると思うので、教員の負担軽減にも繋がるように思います。
先生が常に何かに追われているような状態で、生徒の些細なSOSや可能性に気づく事ができるのか。
小学校高学年の教科担任制を導入することによって、先生方の負担を少しでも解消し、生徒を複数の目で見ることによって生徒にとっても教育の場が良い環境になっていく事を期待します。
学級担任という今までの感覚だと授業においても児童理解においても中途半端になり、児童、教員とも負担が増すのでは危惧しています。早い段階で教職員で共通理解する場が必要だと強く思いました。
また教科担任制には、専門性が活かせ、より深い知識技能を高められるというメリットもあると思いますが、子供や保護者との信頼関係、保護者対応、学級経営などもデメリットも大きいと思います。
学校だけでなく市町村や都道府県で実施の方向性を統一してほしいです。
わたしは教師ではないので、保護者や地域の意見としては、専門分野に特化した教師から学べる事は良いことだと思うし、働き方も改善されるのではと思います。
ただ、クラスの和を保つことが難しくなるのではと感じます。
どのような形になるにしろ、理解しやすい授業を心がけていただきたい。(理解できてない児童が何度も聞ける環境を作って欲しい)
高学年を担任する教員は、暗黙の了解のようにだいたい決まっています。個人の事情もあるのでしょうが、教科担任制になってもそれは変わらない気がします。
また、このシステムが続いたとき、例えば「体育しかやったことありません、できません」といった教員も出てくるのではないかと不安です。特に若い先生は見て学ぶことも必要です。小規模校では、よほど学ぼうという意識がないと、若手教員が育つのは難しいかと思います。
中学校で子供を指導していると、子供の姿は今、この瞬間に見えている一面だけでは無いと痛感します。子供一人一人が教科によって得意不得意があり、やる気があったり無気力であったり、教室での姿と部活での姿など、子供は多様な場面で多彩な姿を見せてくれます。そのような子供達を学級担任が1人で見て成長や些細な変化に気付くことには限界があると捉えます。だからこそ、教科担任制を導入する事は複数の目で児童の成長や些細な変化、SOSに気付くことができると期待しています。小さな気付きから教育相談や生徒指導に早期対応する事が出来れば、教員の仕事量の削減に繋がるかもしれません。
勉強になります!先生のように、私も日々勉強をしていきます。
ただ、来年度から教科担任制が導入されることに不安も感じています。教師の専門性を高めるために、教材研究の時間を確保できるよう、働き方が改善されることを願います。
また、担任が全てを抱え込まず、先生方がチームとして、学級や児童を見ていく仕組みづくりにつながると思いました。このことは、学級が一部児童のリーダーシップにより成り立つ集団ではなく、児童のそれぞれ得意なところを生かしたチームであることの、まさにお手本となり得ます。学校組織が変われば、学級づくりもより良くなる可能性がありますね。
自身の勤務校においては、「管理職の心がまえ」の10項目について申しますと、項目によって達成の難易度や進ちょくに大きな差が生じているのが現状です。
例えば(1)(4)等は比較的進めやすい内容です。
自校の課題としましては、例えば(2)(6)の部分があります。
自校に勤務している最中の専門性はもとより、異動の際、異動先で「〇〇先生は5、6年生の●●科の担当をお願いします」と、どのようなリクエストがあってもしっかりとその任を果たすことができる力量と自覚を高めておく必要があるという点です。
今回の「教育オピニオン」、釼持勉先生の論稿により課題や視点をあらためて整理することができました。
私の職場は、教科担任制の実施に向けて準備が不十分であると感じています。
高学年教科担任制のメリットを現場で発揮できるよう、専門性の向上や日々授業改善に努めていきたいです。
複数の教員が、学級に関わることによって、1人の担任による閉ざされた学級から、より多角的な視点で生徒をサポートできる、開かれた、風通しの良い学級へとなることが期待できる。それをかなえるためには、教員同士の積極的な情報共有が必須であるが、教員一人一人のコミュニケーションスキルの向上や、ハラスメントに対する理解が不可欠であろう。
私自身は、専科教員なので、担任の先生方の学級マネージメント力のすばらしさをいつも感じております。それをうまく生かしながら、多角的に児童を見て情報交換を活発にするなど、今まで以上に学校全体で児童一人一人を育てていかなくてはいけないと感じました。
一例としては、来年度の人事や、学年や校務分掌についてが決まらない中で時間割を決めるのが難しい。
分掌による軽減での講師の有無が挙げられる。
何にせよ、実際に行っていく上で様々な問題も出てくると思うが、とにもかくにも、やるならやらねば!だと思う。
剱持氏のように、常に先を見据えた情報発信をしてくれる方はとても、ありがたい。
今後もアンテナを高くして情報をキャッチしていきたい。
一例としては、来年度の人事や、学年や校務分掌についてが決まらない中で時間割を決めるのが難しい。
分掌による軽減での講師の有無が挙げられる。
何にせよ、実際に行っていく上で様々な問題も出てくると思うが、とにもかくにも、やるならやらねば!だと思う。
剱持氏のように、常に先を見据えた情報発信をしてくれる方はとても、ありがたい。
今後もアンテナを高くして情報をキャッチしていきたい。
来年度からはじまる教科担任制。自校では、準備や取り組みがあまり見られません。どのような形で実現していくのか不安です。
自身が専門とする教科を担当できれば良いですが、必ずしもそうなるとは限らないと思います。ですが、どの教科の担当となっても高い授業力が求められてきます。残りの半年で準備をしたり、担当となってからも教材研究や研修等に前向きに取り組んだりしていきます。
児童に対しての平等な教育として欠かせない教科担任制だと思いますので、教員の皆様や、児童、親ともに準備をして内容の濃い授業ができるといいと思いました。
教科担任制にすることで、中学校への学習の連携にも繋がるからです。1つの教科を授業するので、全科よりもより細かく授業を構成することが出来るのでとてもいいと思います。
教科担任制を通して、複数の先生間で同じ生徒の話をし、授業のノウハウを共有するなどできれば、そういった問題の解決にも寄与するのかな、とふと思いました。そのためにはまず、教科担任制の目的や効果について、学校全体で共有し、正しく準備をすることが大切だと感じます。
自分がそうではなかったので。
しかしそれに伴い教員の技量の向上が必然になると思います。
コメントにもありますように、制度についての認識に関して、地域差が少なからずあるかと思います。また専門性が高い人材が求められるようになることで人手不足の問題が発生する可能性がありますが、これは中高からの移籍の、小学校での採用組を増やすことで解消されていくのでしょうか。児童の負担や困惑を考えることはもちろん、先生方のご負担も考慮した上で、地域の実情を考慮しながら各学校で時間割が組める体制が整えば良いと思います。
とは言え、釼持先生が警鐘を鳴らされていることで、心を動かされる先生方が多くいらっしゃるのだろうと思いますので、"これから"がより大切になるのではないでしょうか。
また、小学校は、よくも悪くも学級王国になりがちなので、担任と合わない児童にとっては、複数の先生の授業を受けることができるようになるのはよいのではないかと思う。
教師の専門性向上や働き方改革推進とともに、以前より、児童を共有するので学年団として協働化が図れます。また、生活指導上、指導や対応を複数又は組織的にできるようになってきました。児童の相談窓口が複数になることも保護者に伝え、安心材料の一つになっているようです。
一方、小学校の学級担任がもっている教科等横断的な視点や児童を1日通して細やかに観察・指導していく力を大切にしていくことは決しておろそかにはできません。教科担任制導入後の低・中・高学年の接続の在り方についてもさらなる吟味が必要になってきます。時間割編成の方法についても研修をしておく必要があります。
各校においては、教科担任制のメリットと課題を児童や学校組織等の実態に合わせて十分に議論をしていくことが大切であると考えます。
高学年をもつ、もたない等、色々な問題が出てくると思いますが教員間で協力していきたいと思います。また、自分自身、何の教科を担当するのか。何を担当できるのか。新年度になる前にしっかりと考えていきたいです。
か?さらに教員の仕事量が増えるだけにならないようにして欲しいです。
一方で、小規模校での教員の配置の仕方や教科間のつながりを意識した授業づくりの研究など、課題も多くあるのかなと考えます。
教科担任制は、児童の学力向上、中1ギャップ防止など様々なメリットがあると思います。その中で、多くの教員により児童理解が進むメリットがある一方、児童目線、信頼できる教員ができにくくなってしまうのではないかといった不安も少し頭をよぎりました。
これからの教育体制の変化にしっかりついていけるよう、力をつけていきたいと思います。