板書王のとっておき算数授業
これまで数々の授業・板書記録を残し続けてきた板書王が教える、子どもたちが授業に食いつく、とっておきの板書・授業ポイントが満載!
板書王のとっておき算数授業(6)
何パターンできるかな?四角形を2つの形に分けまショー!
2年「三角形と四角形」(4/9時間)
新潟県新潟市立浜浦小学校二瓶 亮
2020/11/15 掲載

本時のねらい

 四角形を構成要素(頂点や辺)に着目して1本の直線で分割する活動を通して、四角形がどのような図形に分割できるかを考える。

板書

図1

板書のとっておきポイント

 授業を3つの段階に分けてイメージし、板書の構成も大きく3つに分けるよう意識した。

  • 三角形を分割する場面
  • 四角形を分割する見通しをもつ場面
  • 四角形の分割を仲間分けしながら整理する場面

 子どもが図形を自由に動かし、整理しやすくするため、四角形はマグネット付きの画用紙を用いた。

授業の流れ

1三角形を分割する(10分)

図2

□角形に直線を1本引いて、2つの形に分けましょう。

先生、□には何が入るの?

三か四だよ。三角形と四角形。

じゃあ最初は三角形にしてみようか。どんな分け方があるかな?直線を1本かいてみよう。

いろいろできそうだよ。

図3

 数人を意図的に指名し、黒板掲示用の三角形に直線を引かせる。

この2つの引き方の似ているところはどこかな?

図4

どっちも頂点と辺を結んでいる。

どっちも三角形が2つできているよ。

まだ別の引き方もあるよ(板書には残っていないが、子どもが前に出て指で線を引く動作をした)。

そうだね。全部で3つか。じゃあこっちはどういう仲間かな?

図5

今度は辺と辺を結んでいるね。

今度は三角形と四角形に分かれているね。

まだあるよ!(板書には残っていないが、子どもが前に出て指で線を引く動作をした)。

三角形を分けるときには「頂点と辺」と「辺と辺」の分け方でいいかな?

うん。2パターンだね。

2四角形を分割する見通しをもつ(15分)

図6

じゃあ四角形のときはどうかな?

また2パターンかな。

いや、今度はもう1パターンあるよ。

もう1パターンあると言っている人の気持ちが分かるかな?

えっ?もう1パターン?

あっ分かった!今回は頂点と頂点を結ぶことができるよ。

(1)頂点と頂点(2)頂点と辺(3)辺と辺の3つの分け方のパターンがあるってことだね。三角形のときみたいにできる形は変わるかな?

(1)〜(3)でできる形は変わるような気がする。

やってみたい!

 子どもたちに四角形のかかれた紙を3枚配布し、(1)〜(3)の視点で1枚ずつ直線を引かせる。数人を意図的に指名し、黒板掲示用の四角形に直線を引かせる。

3四角形の分割を仲間分けしながら整理する(20分)

 子どもが直線を引いた四角形を黒板に貼っていき…

図7

頂点と頂点を結んだときは、どんな形に分けられたかな?

三角形と三角形。

頂点と辺を結んだときはどうかな?

三角形と四角形。

では、辺と辺を結んだときは?

四角形と四角形だね。

 ここでは、あえて三角形と五角形に分ける引き方は提示しないでおく。

えっ!?ぼくは辺と辺を結んだけど、四角形と四角形にならなかったよ?

本当?どうやって引いたの?

こうやったよ。

図8

三角形と…もう片方は何だ?

もう1個の形は五角形じゃないかな。
頂点が5個あるし、辺が5本あるから。

本当かな?みんなで一緒に数えてみましょう。

1・2・3・4・5!本当だ!

五角形ってまだ習ってないけど、三角形や四角形と同じように考えれば五角形もありそうだね。

どっちも辺と辺を結んだはずなのに、違う分け方になるの?どっちか引き方がおかしいんじゃない?

あっ!もしかして…四角形と四角形のときは、反対側にある辺を結んでいて、三角形と五角形のときは、となりの辺を結んでいるような気がする。

本当?たまたまじゃないの?

いや、本当だよ!試してみたら、本当にそうなった。

なるほど。結ぶ辺と辺の位置が関係しているんだね。
四角形の分け方は大きく3パターンありました。それぞれの分け方で、どんな形に分けられたのか、隣の人と確認できたら座りましょう。

図9

図10

 学習後の振り返りを書かせる時間はなかったため、四角形の分け方とできる図形について、ペアで確認して授業を終えた。

授業のとっておきポイント

 三角形について扱った後、四角形ではどうか?と考えさせる展開にしたことで、四角形での活動に見通しをもって取り組んでいる子が多かった。また、四角形と分ける活動に入る前に、全体で分ける視点を共有してから進めることで、着目した図形の構成要素と、その際にできた図形とを関連付けて捉えることができるように流した。
 辺と辺に着目して分けた場合、反対側にある辺どうしを結ぶ場合と隣り合う辺どうしを結ぶ場合で、分けられる図形が変わるというのは、三角形では起こらない、子どもにとって驚きのある内容である。この場面までは、スムーズに流していき、この驚きを子どもたちとともに楽しみたい。今回は「どっちかの引き方が間違いなのではないか?」と揺さぶりを掛けることで、再度、辺に着目させ、分け方の違いに気付かせようと考えた。

二瓶 亮にへい りょう

1989年新潟県生まれ。新潟市立浜浦小学校教諭。教員9年目。
子どもの思考に寄り添うことを大切にした算数授業を目指して日々研鑽中。
「フォレスタネット」(授業準備のための指導案・実践例共有サイト)に、板書写真を中心に、実践を多数投稿。「フォレスタグランプリ」の2018年11月大会にて「板書王」、2019年2月大会にて「ベストナイン(算数)」、2019年7月大会にて「月間MVP」を受賞。
共著に「フォレスタネットSelection Vol.3・Vol.4・Vol.5」((株)スプリックス)がある。

(構成:中野)
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