- とっておき算数授業
- 算数・数学
本時のねらい
繰り上がりのある時刻の計算を、「1時間=60分」や「ちょうど△時を作る」、「10のまとまりで考える」といった考えを用いて解決する。
板書
板書のとっておきポイント
- 中心となる考え(1時間=60分、ちょうどの時刻を作る)と子どもが出す考えにつながりをもたせるため矢印を書き入れるようにした。自学級では、「イカす(生かす)」と呼んでいる。
授業の流れ
1既習事項の復習で大切な考えを整理する(15分)
問題文を提示する。
今、8時□分です。30分後は何時何分でしょう?
□にどれが入ると簡単かな?(10、20、30、40、50の5枚のカードを示す)
10が入ったら簡単!
あ〜分かる!
どうして10が入ると簡単なのかな?
10や20だったら、30分後でもくり上がりがないから。
まだあるよ。30も簡単だよ!
そうそう。簡単だよ。
30+30=60になるから。
ちょうど9時になるから。
60分で1時間だからね。ちょうどだから簡単。
30だと「ちょうど」だから簡単だってことなんだね。
2既習と関連させ解決方法の見通しをもつ(15分)
では、□に入るカードを引いてもらいましょう。
ここでは、10〜50までが入った封筒から1枚カードを子どもに引かせる。ランダムではなく、封筒の中はしきりによって10・20・30の部屋と40・50の部屋が分かれている。教師が意図した数値を引かせることができるよう、工夫している。
あ〜。40か〜。
今、8時40分です。30分後は何時何分でしょう?
40だけど簡単だよ。
ちょっと難しいよ。
ちょっと難しいと感じている人がいるのはどうしてかな?
さっき言っていた「くり上がり」があるからじゃない?
ヒント出せるよ。40分から10分引いて30分にして考えるといいよ。
あ〜そういうことね。なるほど!
30分にすると、何か良いことあるの?
あるよ!さっき○○さんが言っていた「9時ぴったり」が使える!
そうすれば、あと残った10分を…。
他にもアドバイスできるよ。
8時40分+30分=8時70分でしょ?
ちょっと待って。そうだよね。足したら8時70分だよね。これが答えじゃないの?
違うよ!おかしいよ。70分は60分を超えている。これもさっきの考えを生かすんだよ。
70分を60分と10分に分けて…。
まだあるよ。40分は置いておいて、30分を20分と10分に分けて40分と20分を足すと…。
3考えを共有し、大事な考えを押さえる(15分)
なるほど。たくさんの考えが出てきたね。では、自分で考える時間を取るので、ノートに考えを整理してみましょう。
5分間、自力解決の時間を取る。
考えを共有していきましょう。では、40分を分ける考えからいきましょう。
式とともに、それぞれの考えを整理していく。
それぞれの考えに共通した大事な考えは何だったかな?
1時間が60分だという考え。
ワッケル(分ける考え)。
(△時)ちょうどを作ること。
では、その大事な考えを使って、最後にもう一問解いてみましょう。
授業のとっておきポイント
「□にどの数が入ったら簡単か?」と問うことで、簡単なものとそうでないものを子どもに意識させることができる。「簡単」の捉えは人それぞれであるため、その違いを埋めていく作業が問題を解釈するということにもつながっていくと考えている。今回で言うと、10や20が簡単だと捉える人と簡単ではないと捉える人がいた。どうして簡単だと考えたのか?と突っ込んで聞くことで、その捉えを詳しく知ることができる。同時に、40や50はくり上がりがあるから難しいという考えを引き出すことにもつながる。また、30についても意見が分かれるだろう。ただ、2年で既に習っているため、ぴったりになるということを簡単だと捉える人も出てきて当然である。
今回は、「簡単」の捉えを解釈している中で、本時(単元)で大切にしたい考え方を引き出すことができ、その後の問題解決に生かしていけるよう促していった。「40分を分けて30分にすると、何か良いことがあるの?」などと問い返すことで、大切にしたい考え方に戻ることができるようにする問い返し発問にも気を遣っている。
なお、今回は数直線を用いた考えについては無理に扱わなかった。次時以降、できるだけ無理のない形で提示できればと考えている(子どもから出させるのは少し難しいか)。