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- とっておき算数授業
- 算数・数学
本時のねらい
3口の加法において、前の2口を先に足しても、後ろの2口を先に足しても、答えは同じになることを理解するとともに、( )を用いる意味を理解する。
板書
板書のとっておきポイント
- 子どものつぶやきや発言を、吹き出しを用いて可視化する。
- 考えと考えのつながりを矢印等で表現する。
授業の流れ
1問題場面の把握(12分)
ビー玉は全部でいくつあるかな?一緒に数えてみましょう。
赤・緑・青の各色のビー玉が入った容器(どれも中身が見えないようにしておく)を提示し、数を確認する。
1・2・3…27。赤は27個だね。
1・2・3…19。緑は19個。
あれ?青は?
青は秘密です。?個としておきましょう。青を?個としたまま、式にするとどんな式になりますか?
青が?なら、27+?+19かな。
では、この?にどんな数が入ったら、27+?+19の計算が簡単になるかな?
少ない数でもいいの?どんな数でも?
「簡単」ってどういうこと?
いい質問だね。逆に、計算が面倒だなって思うときってどんなときかな?
くり上がりがあるとき…計算が苦手。
私も。筆算でもくり上がりがないときは簡単だった。
みんなの話だと、難しくなるのは、くり上がりが「ある」ときってことだね。ということは簡単になるのは、くり上がりの計算が「ない」ときってことだね。これをヒントに?をこの中(0〜9)から選んでみよう。いくつ選んでもいいです。
2□に数を当てはめてみる(1)(25分)
これは簡単!と思うものに手を挙げてください。何回挙げてもいいです。
下の写真の◎は、簡単だと考えた人数を表している。
では、一番数が多かった0から考えてみよう。0は簡単かな?
0は簡単だよ。だって計算しなくてもいいんだもん。
そうそう。青は無視していいから赤と緑だけ計算すればいい。
27+19の計算をすればいいってことだね。
ここで筆算が必要だという反応を期待したが、3口の計算が2口でできるという簡単さに学級のほとんどが納得したため、無理に取り上げないことにして、先に進めた。
なるほど。では次に人数が多かった3はどうかな?
3が簡単な理由、言えるよ!
ぴったり30ができる!
どこに30なんてあるの?30が見える人はいるかな?
27+3で30だよ。簡単だから頭の中で計算できる。
あっ!その後の30+19も筆算いらないよ。
さっきの0のときは、くり上がりがあって筆算が必要だったけど、今回は筆算しなくていいから、さっきよりも簡単かも。
だったら?が1のときもそうだよ。
○○さんの「?が1のときもそうだよ。」という発言に、
「あー!」と思った人はいますか?(20人)
「ん?どういうこと?」と思った人は?(6人)
どういうこと?と思っている人で、「あー!」となった人に聞きたいことはあるかな?
1が入っても27+1=28ですよね?これだと28+19になってしまって、0のときと同じでくり上がりになっちゃうよ?
そっちじゃなくて、後ろを先に足すの!
後ろ?
あー!それなら1+19で、ぴったり20になるね。
後ろを先に足してもいいの?
前やったみたいに、足す順番を変えても答えは変わらないからいいんだよ。
5+4=9で、4+5=9みたいにね。
そうでしたね。今回も答えが変わらないのか確認しましょう。
28+19=47だから同じだよ。
そうだね。3つのたし算では、前を先に計算しても、後ろを先に計算しても答えは変わらないね。こういうときに使う便利な印があるので紹介しますね。「( )(かっこ)」と言います。かっこは先に計算する印です。
3□に数を当てはめてみる(2)(8分)
残ったのが4だけど、簡単かな?
4は難しいよ。どっちに足してもぴったりにならないよ。
そうそう。どっちにしてもくり上がっちゃう…。
どっちにも足すって考えたんだけど…。
さくらんぼ計算みたいにして4を2つに分ける!
4をどのように分けるのかな?
あっ!分かった!4を3と1に分けるんだ。
4を3と1に分けると、何かいいことがあるの?
あるよ。27と3で30。19と1で20。ぴったりが2つもできる。
本当だ。これすごいね。
さっきやった3と1を合体したアイデアだね。
今日は簡単になる計算について学習したね。大切だと思った考え方は何かな?
ぴったりな数を作ること。
そうだね。ぴったりな数を作ることができれば計算が簡単になったね。そのために、かっこを使う方法があったね。ちなみに、青のビー玉の数がもっと増えても計算を簡単にできる数はあるかな?家でも考えてみてください。
授業のとっておきポイント
□に入れる数として、「簡単」とはどういうことかについて全体である程度共有してから考えさせることとした。難しいときはどんな場合かを問うことで、くり上がりがある場合を避けた数値設定をしたいというように、問いをできるだけ焦点化してからノートに考えを書かせた。さらに、今回は□に入れる数は0〜9までと限定し、その中から選ばせる形をとった。そうすることで、多様すぎて扱いきれなくなることもなく、ねらいと大きくずれた展開も起きにくくなる。だったら13や11でも同じだという発想が最後に出てくれば、自主学習などで発展的に学んでくることを促せばいい。
初めて□を使うとなると、混乱する児童も出てくるかもしれない。本時が最初の場合は、□がどのような役割をしているのかということを児童の実態に合わせて丁寧に説明する必要がある。どんな数が入ってもいいのだというオープンな提示方法としての□を、本時以前に数回経験させておくとスムーズだろう。
【参考文献】
『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 算数 小学校2年上』田中博史 監・山本良和 著・筑波大学附属小学校算数部 企画・編集(東洋館出版社)
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