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この春に研究主任になった先生、研究テーマを何にするか悩んでいませんか。まずは、研究の方向性を探るための「実態調査」から始めましょう!
管理職への聞き取り調査をする
校内の研究は、「学校の文化をつくる」という大きな役割を担っています。そのため、学校運営においてどのような位置づけで進めていくのかの確認が欠かせません。校長先生との対話を大切にしましょう。
研究主任に任命されたら、できるだけ早く校長室を訪ねます。
そして、校長先生に次のように聞いてみましょう。
今年度の研究はどのように推し進めていけばよいですか?
もちろん、自分自身の研究の方向性を持った状態で聞くということが大原則ですが、それを決定事項にしてはいけません。校内の研究は、学校運営において、大きな影響を与えます。
例えば…
- 学校全体の毎日の授業づくりに関わってくる
- どのような子どもたちを育てたいのかに関わってくる
- 外部に学校をPRする際の目玉となる(研究で取り組んでいることは、そのまま管理職などが保護者や地域に説明することが多い)
- 先生たちがどのような力量形成をするのかに関わる
このように、学校運営の核となるようなところに影響を与えるのが「研究」なのです。こうしたことを校長先生と共有しておくことは、1年間を大きく左右するくらいに大切なことです。しっかりと時間を取って対話するようにしましょう。
子どもの実態調査をする
学校の研究を推し進めていくには、子どもたちの存在が欠かせません。研究を進めていく際には、子どもたちの実態調査をきちんと行い、進めようとしている研究と子どもたちの実態がマッチしているかを確かめましょう。
子どもたちの実態調査と聞くと「子どもたちの課題」を連想する人は少なくないのではないでしょうか。しかし、子どもたちの実態と言っても、例えば次のようなものがあるのです。
- 子どもたちの抱えている課題
- 子どもたちが持っている強み(できていること)
- 子どもたちがまだ触れていない未知のもの
このように、課題のみならず「強み(できていること)」や「未知のもの」にも目を向けてみましょう。この3要素から考えると、研究の種類も次のような3つを思い浮かべることができます。
- 子どもたちの課題を克服する研究
- 子どもたちの強みを伸ばす(活かす)研究
- 子どもたちが新しいものに出会う研究
自分たちがやろうとしている研究が、上記のどの研究に当てはまるかを把握しておくことは、研究活動をスムーズの進められるかどうかの分岐点にもなるので、しっかりと押さえておきたいところです。
また、実態の調査方法ですが、アンケート以外にも、成果物(ノートや学力調査など)や観察した子どもの姿をもとに教職員で話し合う、なども考えられます。
特に、話し合うことで、お互いの子ども観や子どもたちの情報共有を行ったりすることができます。ぜひ話し合いの機会をつくってください。
教職員の実態調査をする
研究を推し進めるにあたって、どうして先生たちの実態把握が大切なのでしょうか。それは、「研究を推し進めるのは先生たち自身だから」です。
よい研究にするためには、まず先生たち自身が「これは私たちにとって意味のある研究だ」と認識しなければいけません。そのようにして先生たち自身に「主体性」がもてなければ、研究を推し進めることはできません。
研究を始める前に、例えば、以下のようなアンケートを取ってみましょう。
(1)今回の研究でどのような成果を得たいのか
(2)今回の研究で挑戦してみたいことはどのようなことか
(3)今回の研究で知りたいことは何か
(1)の質問は、今回の研究でのゴールイメージを持たせる質問です。それぞれの先生方自身の個人の目標設定としても活用できるでしょう。
(2)の質問は、今回の研究の具体的な行為を問う質問です。ゴールに向かっての具体的な一歩をイメージしてもらうことができます。
(3)の質問は、今回の研究にあたっての疑問点です。これらを集約することで、先生方の知りたいことやまだわかっていない部分を知ることができます。
このようにして、先生たちの実態をきちんと把握してから研究をスタートさせていきます。研究の主体性は、先生こそ持たなくてはいけません。研究を終えた時に「自分はこんな力をつけることができた」「自分はこんなことに挑戦することができた」と、先生方に自信を持ってもらえるように仕掛けていきましょう。