- 研究主任の仕事大全
- 教師力・仕事術
授業検討会(指導案検討会)は、研究授業を成功させるのに欠かせません。だからこそ、研究主任には押さえておきたいポイントがたくさんあります。
授業を考えて参加させる
指導案検討会は授業者だけのものではありません。全員に自分事と考えてもらうためには設定が大切です。それは、「それぞれが、自分の授業プランを持ち寄って参加する」ようにすることです。授業者の一方的な授業プランを聞くのではなく、自分の授業プランをアウトプットする場へと変えます。
具体的には、次のようにします。
(1)授業検討会1週間前に教材をメンバーに配布する。その際、指導書ではなく、児童用教科書のコピーを配布するようにする。
(2)メンバーには、当日までに「自分ならどのような授業をするのか」を考えるように伝える。必要であれば、どの場面を扱うのかを知らせておく。
(3)授業検討会では、指導案を配布する前に、メンバーからの授業案を発表するようにする。
(4)最後に、授業者の指導案を配布し、授業者の案を発表する。
(5)授業者は、「いいな」と思った授業案を採用してもよいこととする。
このような流れをつくることで、参加型の指導案検討会へと変えていくことができます。
授業者は、たくさんの授業案が手に入るので、より充実した授業へとつなげることもできます。参加者もひとつの教材からたくさんの授業案を聞くことができるので、学びを深めることができます。
司会の役割4原則
いざ授業検討会が始まったら、研究主任の役割は、次の4つです。
- 空気づくりをする
- ファシリテーター役となる
- 効果的なグループ構成をする
- 時には自分が前に出る
指導案検討会をはじめ、研究協議会や普段の部会では「空気づくり」がとても重要です。この空気をつくるのは、研究主任の仕事です。なんといっても、次のことが保障されている空気づくりが欠かせません。
何を言ってもよいという雰囲気づくり
メンバーは「こんなことを言ってもいいのかな」という不安を抱えて参加しています。
このことをまずは受け止めることです。そして、よりよい空気づくりのために、次のようなことに注意してみましょう。
- まず若い先生から意見を言ってもらうようにする
- 研究主任がファシリテーターとなり、どんどんと指名しながら意見をつないでいく(研究主任よりメンバーの話す時間が確保される部会を目指す)
- 笑顔で話し合いを進める
とりわけ、司会に求められるのはファシリテーターとしてのふるまいです。ファシリテーターは、とにかく「傾聴」を大切にします。名ファシリテーターは「聞き名人」なのです。
また、よい授業検討会には意図的なグループ構成が欠かせません。学校には様々な年次・経験の先生がいます。グループのだれをリーダーとし、だれを活躍させたいのか、ねらいをもったグループ構成が司会には求められます。
メンバーの意見をよく聞き、メンバーの活躍を促したうえで、さらに、よい司会者たるには、自分がいつでも前に出る覚悟をもって臨みましょう。
話題が停滞してしまった時。
参加者が自信をもてずに迷って前に出ることができない時。
こんな時は司会者の出番です。
研究主任のもつ知識を総動員して、全力で語りましょう。
そして、また、先生方が話し始めたら、すっと後ろに回るのです。
その繰り返しが、よい授業検討会をつくります。