- 研究主任の仕事大全
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一年のまとめとして、研究部会で振り返りをていねいに行いましょう。ここで、どのような振り返りをするかによって、メンバーの研究成果の定着度が変わってきます。
成果をメンバーから出す方法
研究のまとめでは、
本年度の研究の成果はどんなことでしょうか?
と、まずは、プラス面をできるだけたくさん出すようにしていきます。
先生たちには、「よい面だけ見てくださいね。悪い面は、今は一切見る必要はありませんよ」とも伝えるとよいでしょう。
次のような方法で意見を集めていくことが考えられます。
○事前にアンケートをとる
事前アンケートのよさは、何といっても「時間短縮」です。また、先生方に部会の見通しをもってもらうこともできますし、こちらで意見を整理しておくこともできます。
ただ、そのときの臨場感をもって書くことができないことが難点です。先生方のモチベーションによってはばらつきがみられることもあります。
○カードに書いて貼っていく
意見をたくさん出した後にカテゴライズ(分類)することができることが強みです。カテゴライズすることで、より成果をはっきりとみることができます。司会である研究主任はファシリテートの腕の見せどころです。研究主任がどのようにまとめられるかがポイントになります。
○一人一人順に発言していく
いわゆる「インタビュー形式」で聞いていく方法です。一人一人に切り返すことができるので、深く聞くことができますが、時間がかかってしまいます。また、研究主任の板書力が求められます。
どのまとめ方がいいのか、まとめ方を組み合わせて活用してみるとよいでしょう。
課題の整理はバランスが大事
よい面を出し合ったら、次は課題の整理をしていきましょう。ただし、課題の整理には慎重になる必要があります。成果と課題のバランスを考え、次年度につながる振り返りを行います。
成果と課題は、
成果:課題=3:1
で出してもらうと、バランスよく振り返ることができます。
その後、よい面と悪い面を出し合ったものをカテゴライズ(分類)し、本年度の成果と課題を確認しあいます。こうして、本年度の研究の成果と課題をあぶりだしていき、次年度の研究へとつなげていきます。
ともすれば「成果と課題は研究主任が言って終わり」なんてケースもあるかもしれません。しかし、それでは、次年度に生きた意見を引き継ぐことができないのです。「自分が生み出した」という当事者意識があるからこそ、研究に本気になれます。
冊子にまとめる意味とは
成果の一つとして、研究冊子にまとめるということも多いかもしれません。研究の振り返りという実質的な面はもちろんあるのですが、裏の目的として「学校全体を巻き込む」ことが挙げられます。
そのためには、
(できるだけ)全員の文章が冊子に掲載されるようにする
ことが大切です。一人一役を意識して冊子づくりをすると、研究主任が「ありがとうございました」と言える人が増えていきます。研究のまとめ役である研究主任が、きちんと「ありがとうございました」とお礼を言えるようにすることで、研究をしてよかった、という空気を醸成するのです。