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今月の相談
キョウコさんは5年生になった普通の女の子です。学校は、新型コロナウイルスの影響で2月末から休校でしたが、5月10日から再開になりました。ですが、キョウコさんは、登校が再開されて5日経っても、登校していません。以前は保健室への来室もなく、休むこともありませんでした。お母さんの話では、学校に行って、コロナにかかったらどうしよう、新しいクラスで友達ができるか、新しい先生と馴染めるかなど不安が尽きず登校できないそうです。私は、キョウコさんに何ができるでしょうか?
スーパー養護教諭のアドバイス
1不安になるのは当然だよと伝えよう
私たちは普段の生活の中で、怒り、恐怖、悲しみといった不快な感覚を感じています。不快な感覚を感じないで生活することはできません。新学期であれば、「どきどきする」というのは誰でも感じる感情の一種です。しかし、今年は、新学期のドキドキにプラスして、休校措置、目に見えないウイルス、増加する感染者、終息が見通せないことなど、大人ですらほとんどの人が大きな不安感を抱えています。キョウコさんの保護者にとっては、新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)への不安プラス、自分の子どもが学校に行けないという状況での不安はプラスされます。いいえ、倍でしょう。不安だという気持ちは、弱いことでも恥ずかしいことでもありません。キョウコさんにも、お母さんにも、そして、担任の先生にもそして、自分も「不安だ」と言って、共感の輪を広げましょう。
2養護教諭との「おしゃべり」に誘ってみよう
これだけの長期休校は誰もが未経験。先生方もトップスピードで休校開けを走っていることでしょう。ですから、不安を感じている子どもへのケアを学校関係者で話し合い、役割分担をしましょう。私なら、養護教諭は「おしゃべり」の相手になることを提案します。それには理由があります。みんなが不安な時は、批判しない、されないことが前提にある「おしゃべり」が大事。相手の反応を気にせず、安心して話すのです。実際の学校現場は「おしゃべりしている暇があったら勉強しろ!」というメッセージが強く出ている場所ですよね。言わないとしても絶対に態度で出てます(笑)。担任の先生は、子どもの愚痴を聞く暇も、自分だって愚痴を言っている暇もありません。それが今の学校現場です。
3休校中から支援を始めよう
キョウコさんはノーマークだったお子さんですよね。前年度から欠席がちであれば、年度当初の段階で不登校になりやすい子どもとして名前が挙がっていたはずです。しかし、今回のような社会全体が不安になるような状況では、キョウコさんのようなノーマークのお子さんも不登校になることを想定しなければなりません。休校中にどれだけ準備しても、防げないことはありますが、ここが保健専門職としての養護教諭の出番です。子どもたちの状況を想像して、準備し、先手を打てたかどうかで、結果は変わります。積極的に心のケアについての情報発信、相談窓口の紹介などを行なっていきましょう。
今月のまとめ
「不登校の子どもが増えること、想定の範囲内です。そのための手を打ってあります」そんな風に職員会議で発言できるとかっこいいですね。手立てを準備して、使えば、それは成功。準備しておいて、使わなければ、それも成功です!!