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今月の相談
小学校3年生のユキオくんは、ここ1週間、毎日授業中に保健室にやって来ます。「お腹が痛い」などと辛そうにしているのですが、バイタルはいつも異常なし。1時間休ませて教室に戻すことを続けていましたが、ここ3日は授業時間が終わるまで保健室を出ようとしません。終業時間になるとケロリとした様子で帰宅していくので、「仮病かも?」と私も思い始めました。私は、どのように対応すればよいでしょうか。
スーパー養護教諭のアドバイス
1騙されてみよう
それはズバリ仮病でしょう。何か訴えたいことがあって「お腹が痛い」と言っている、「仮の病」です。保健室が、「怪我や病気の人が行くところ」「用事がない人は行かない」という約束になっていれば、子どもは病気か怪我になって行くしかありません。
私は、「お腹が痛い」を子どものサインとして受け取ります。アカデミー俳優顔負けの演技の子どもに、騙されること、いや、騙されてあげるのはよくあることです。
健康度が高い子どもは保健室に寄りつきません。膝小僧を擦りむいて血がダラダラ出ていても、休み時間が惜しくて、遊んでいます。ですから、まず、「保健室に行きたくなる」という時点で、健康度が低いと判断します。
2受け入れてみよう
「お腹が痛くなっちゃうんだね〜」とまずは受け止めます。バイタルサイン、触診で深刻な腹痛でないことを確認します。そのとき、「本当に痛いの?」「これぐらい平気、平気」はNGワードです。仮病だと疑っているとすぐ子どもにバレ、「なんでわかってくれないんだよ!」とユキオくんがグレ男くん化します。
受け止めた後は、「お腹が痛いと心配で授業に集中できないよね〜」「今のお腹の状態だと、お家に帰って寝るほどじゃないよ」と言って安心させましょう。「仮の病」は「本当はやりたいけどできない」というユキオくんの心の声と考えます。
そうすれば、ユキオくんは安心しておしゃべりを始めるでしょう。家庭、クラス、担任、学習の状況などにも焦点をあて、お腹が痛くなる要因を探ります。ここでは詰問禁止。雑談のように、「どんなとき痛くなるの?」と尋ねてみましょう。
3一緒に考えてみよう
「お腹が痛いときもあるみたいだけど、何ならできそう?」と尋ねます。ユキオくんは「体育以外ならできそう」と答えたとしましょう。「痛いけどできること」を自分で見つけたことを大いに褒めます。そして、先手を打って、「体育の時間は保健室に来てもいいよ」「担任の先生に言っておいたよ」と伝えます。
そして、次の体育の時間に来室したとしましょう。ここでさらに一手、「担任の先生がユキオくんが頑張ってるってすごく褒めてたよ」と伝えます。そうすると、まあ不思議、言えば休めると言う安心感がお守りになり、ユキオくんは1、2回保健室に来たっきり、逆に来室しなくなる…なんてこともありえますよ。
今月のまとめ
養護教諭にも、アカデミー俳優を上回る演技が必要です。「仮の病」である「腹痛」をまず受け止め、一緒に考えます。騙されることも想定範囲内。一喜一憂する必要はありません。「騙されてくれる安心できる相手」を目指しましょう。原因探しに重きをおくのではなく、できることに焦点を当て、ユキオくんの自己肯定感を高めるように褒めまくりましょう。
