今月の相談
小学5年生のメグミさんは、最近昼休みによく保健室に来て、クラスの友達とうまく行かない、悩んでいると話します。私は担任のサノ先生に相談してみたらと言ったのですが、「サノ先生には話したくない、どうせわかってもらえない」と言って相談しません。それでも、私は、担任に伝えないわけにはいかないと思い、メグミさんが友人関係で悩んでいることを担任に伝えました。するとサノ先生は、「自分が担任だからまず私に話すように言ってちょうだい」と不快そうでした。私はどのようにすればよかったのでしょうか。
スーパー養護教諭のアドバイス
1「話せない」のか「話したくない」のか見極めよう
担任に「話せない」というのは、担任に遠慮してしまう、担任がおっかなくて話せないということが考えられます。「話したくない」というのは、担任になんらかのサインを出したが、うまくいかなかった経験があることなどが考えられます。
メグミさんの場合は、「どうせわかってもらえない」と言っていることから、後者に当てはまるでしょう。メグミさんは担任に「話したくない」と言っています。ここは一歩踏み込んで、「なぜわかってもらえないと思うの?」と聞いてみましょう。メグミさんは「前に○○さんとうまくいかないと言ったら、もう5年生なんだから自分たちで解決しなさい。あなたにも悪いところがあるのではと言われた」など、担任の先生に話したくなくなったきっかけを話すかもしれません。あなたは、メグミさんの言ったことを「そうだったんだね」と受け止めましょう。
2担任からの目に見えないプレッシャーは横に置こう
あなたは、なぜ担任に『伝えないわけにはいかない』と思ったのでしょうか。担任に伝える以外方法はないと思い込んでいませんか。私は、『伝えないわけにいかない』と考えるのには大きく2つの理由があると思います。
1つ目は、「養護教諭が知っていて、担任が知らないなんて、担任は気分を悪くするだろう、出しゃばってはいけない」というような、担任に対する遠慮があること。
2つ目は、「担任に指導してもらうしかない、担任に秘密にしておくことはできない」というように、普段の子どもたちの状況を一番知っているのは担任だと思い込んでいること。
この2つにはメグミさんの視点が入っていたでしょうか。『まず担任に絶対に話すべきだ』という担任からのプレッシャー、それは一旦横に置きましょう。そして、担任と子どもの相性もあります。担任オンリーと考えるのではなく、学年主任や生徒指導担当に相談してみるのも良いと思います。複数の目でメグミさんの状況を捉えなおしてみましょう。
3子どもに利益があるかどうかで行動しよう
友達とうまくやりたいと悩んでいるメグミさんに、「メグミさんの話はよくわかったよ。私が手伝えることはある? メグミさんがサノ先生に話したくない気持ちもわかった。もし私がサノ先生に話をしてもいいなら私から事情を話すこともできるよ」と伝えてメグミさんにどうしたいのか決めてもらいましょう。
メグミさんは、あなたに聞いてもらっているからサノ先生に言わなくていいと言うかもしれませんし、あなたからサノ先生に言って欲しいと言うかもしれません。メグミさんの自己決定を尊重し、それを後押しする手伝いをしましょう。
サノ先生のように不快そうにする人、私も経験があります。メグミさんが話したくなくなる理由もわかる気もします。担任がすべての責任を持つ。担任はまず子どもの悩みを知りたい。担任あるあるです。担任の立場も理解しつつ、ここは、メグミさんとの関係を優先しましょう。あなたがサノ先生に気を使って動けばそれは必ずメグミさんに伝わります。あなたの行動はメグミさんに利益があるかどうかで判断しましょう。
今月のまとめ
担任の先生とうまく行かない子どももいます。あなたと子どもが、担任と話したくないと吐露できる間柄になっているのは、子どもがあなたを信頼している証拠ですね。子どもの利益を優先すると、時には担任と意見が合わず摩擦が生じることもあります。しかし、反比例して子どもからの信頼は必ず増していきます。

児童からの第一相談者ならば、問題解決への責任者であるべきかと思います。この相談も回答も、暗に担任批判しているように感じますが、問題があった時に責任を問われ、保護者対応するのも結局は担任なので、そのプレッシャーにも触れて欲しいです。