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今月の相談
小学校4年生のアキさんは、昼休みに運動場で転び膝小僧を擦りむいて保健室に来ました。傷は浅く、大きさは4cm×4cmで、泥がついていました。私は流水で泥を洗い流し、市販の創傷被覆材を貼りました。担任のマキノ先生に処置の内容を伝え、連絡帳へ記載してもらいました。翌日、マキノ先生に母親から苦情の電話が入りました。「私が帰宅する(19時ごろ)と、アキが痛がっていたため、救急病院へ連れて行った。病院で『細かな土砂が入っている、このままだと刺青のように跡が残る』と言われた。なんで早く連絡をくれなかったのか」私はどうすれば、このような苦情を防げたのでしょうか。
スーパー養護教諭のアドバイス
1母親の気持ちを想像してみよう
あなたがお母さんだったらどうですか? 仕事を終え、疲れて帰宅すると子どもが傷が痛いと言っている。病院に連れて行かなくちゃ。でも近くの病院は終わっている。救急病院に行くしかない。そして、跡が残るかもしれないと言われ、心配と不安が高まり、学校の対応に腹が立つ。このような経過が想像できませんか。あなたとしては、手当ては適切に行った。連絡帳にも書いた。きっと担任の先生は家庭で様子をみてください、必要があれば病院で診てもらってくださいと書いたはず。私はやるべきことをやったのに、そんな気持ちですよね。
2我が子だったらと思って接しよう
私も若い頃同じような経験をしました。その時、知り合いの医師から、「病院の仕事に患者さんからの苦情はつきもの。でも目の前にいる患者さんが自分の子どもだったらと思って手当てしていれば間違いないよ」と言われハッとしました。そうだ、自分の子どもだったらどうして欲しかっただろう? もっと早く連絡が欲しかったのだ。連絡帳を見るなんて夕飯の後ってこともある。けがをしているのがわかっていたら、いつもより早く帰って、様子を見れたし、病院にも行けた…。
3連絡は早く入れよう
私は職場で電話魔と言われています。理由は、簡単です。「ちょっとのけが」でも保護者に電話するからです。私は経験から、「ちょっとのけが」と思うかどうかは保護者によって基準が違うということを知っています。アキさんのような擦り傷の場合、保護者に連絡する際には、細かな土砂があり、完全に取りきれていない場合があること、取りきるためには医療機関で洗浄してもらう必要があることも丁寧に伝えます。そうすると「舐めておけば治る」などと言うおおらかな保護者もいますし、傷を残したくないとすぐに形成外科などの病院に連れて行く保護者もいます。ですから、けがの経緯と手当ての内容、緊急度の判断などを伝え、最後に必要があれば病院受診をおすすめしますと申し添え、最終的な判断は保護者に任せます。「先生、それぐらいのことで電話してこなくていいですよ」と言われたらこっちのものです。
今月のまとめ
「丁寧すぎる」ぐらいがちょうどいい。つまり「丁寧すぎる」ぐらいで、やっと苦情が来ない。「丁寧」ぐらいだと苦情が来ると言うのが私の最近の実感です。今回の事例に対しても、早速お母さんに電話をして「ご心配をおかけしてすいませんでした」と丁寧に今回の経緯を説明しましょう。
