- 多賀一郎の教師塾
- 学級経営
一年間の連載も今回で最後。この記事が掲載される頃には、ほとんどの地域で修了式も終わっていることでしょう。お疲れ様でした。
そこでこの最終回では、新年度のスタートへ向けて、子どもたちがどんな思いで学校へやってくるのか。保護者は、どんな思いでスタートを迎えるのか。そこを少し深めて考えてみたいと思います。その思いを受けて、新年度のスタートの計画をじっくりと練ってください。
ただし、春休みに一息入れて、ゆっくりと休んでから、ですよ。
この時期の子どもたち
- 「今度はどんな友だちと一緒のクラスになるのだろうか」
- 「AちゃんやBちゃんと一緒になれたのかなあ」
- 「今度のクラスでは、みんなと仲良くやれるだろうか」
- 「いいクラスだったので、今度はあんなふうにはいかないかもしれない」
- 「友だちができなかったら、どうしよう」
こういう気持ちが複雑にからみあっているというのが、この時期の子どもたちの状態です。同様に、保護者も同じような期待と不安を抱いています。
初日にまず、1と2の答えが出ます。がっくりする子どももいます。「やったあ」と喜ぶ子どももいます。悲喜こもごもの子どもたちに、教師はどういうメッセージを送ってあげるべきでしょうか。特に、がっくりとした子どもたちへのてだてを考えておかなければなりません。
3、4、5については、何かインパクトのあること、たとえば、みんなで学級開きの会をするなどして、「このクラスは何かあるかも…」という思いにさせたいものです。
担任が気をつけたいポイント
リセットしたい親子もいる
前年度にクラスでうまくいかなかった子どもと保護者は、新しい関係というものに大きな期待を抱きます。リセットして、いい一年になってほしいという思いが特に強いのです。
「今日は、どうだった?」とたずねる保護者の思いというものは、決して軽いものではありません。そのときの子どもの第一声が、「なんか、楽しそうだった」であれば、どんなにかほっとされることでしょう。その言葉が出るように工夫をしたいものです。
保護者に良い印象を与えられるスタートを切る
転勤しないのであれば、前年度の評判は保護者の間に半分は伝わっていると考えてよいでしょう。良い予想は裏切らないように、悪い予想は吹き飛ばすように、初日のスタートを考えましょう。そして、その後の一週間ほどが重要になります。ここに全力を投入してください。
「楽しそうな先生だな」この一言が一番ほしいところです。スタートは楽しいことが一番です。子どもは、まず、楽しいかどうかがポイントなのですから。
子どもたちの意欲を大切にする
学年がかわるときには、子どもたちも「今度はがんばってみよう」「今までの僕とはちがうぞ」という気持ちでいっぱいなんですね。ほとんど三日坊主なんですが、そういう意欲ももっています。その意欲を大事にしなければなりません。うまくのせないといけないのです。どうのせていくのかを考えましょう。
多賀先生からのワンポイントアドバイス
初日のスタートについて、細かいことは書いていません。学年によって違うので、とてもこのページには書ききれないのです。春休みに開催されるいろんな学級開きセミナーなどに参加して、そこで考えましょう。自分の力だけでは限界があります。僕もセミナーをしますので、よろしければ、どうぞ。
保護者の気持ちをよみとくことは、簡単なことではありません。僕も失敗続きでした。失敗から学んでいったといった方がよいでしょう。失敗しても、一度落ち込んだら立ち上がって、前進あるのみです。