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- 多賀一郎の教師塾
- 国語
この時期の子どもたち
「国語は、何を勉強したら良いのか分かりません」
この言葉を、保護者から何度聞いたことでしょうか。
子どもはもちろんのこと、保護者にとっても、国語という教科は、分かったような分からないような困った教科なのです。本を読んだら国語の力がつくと漠然と思ってはいますが、具体的にどんな学習をしていけば良いのか、ほとんど分かりません。
親塾をしていても、教科での相談が一番多いのが、国語です。(僕が国語教師だということもあるのですが。)国語の問題集を解いても、力がつくという実感は少ないです。答え合わせをして正しい答えを写すだけで国語力がつくとは、とても考えられません。いや、問題集選び一つをとっても、どういうものが良いのか選べないようです。国語の学習について悩んでいる保護者は、本当に多いものです。
担任が気をつけたいポイント
漢字の学習が国語嫌いの子どもをつくっている
「国語は漢字しか教えられない」と発言した教師がいましたが、教師自身も国語学習については、はっきりとした方針を持っていないことが多いようです。漢字は、学習した足跡がはっきりと見えます。特に、漢字の書き取りに関しては、努力と結果がはっきりとしています。ですから、漢字の学習に力を入れてしまう先生も多いようです。
「私には漢字くらいしか、指導できませんから」と言った先生もいます。でも、同じ漢字を何度も書かされる学習によって、国語が嫌いになっている子どもたちのいることも忘れてはなりません。
国語学習=漢字学習では、ありません。
単に「宿題をした」だけでは力はつかない
子どもの音読を保護者に聞いてもらう宿題を出したときに、保護者の方が全員一生懸命聞いて下さっていると思うのは、甘い考えです。適当にハンコを押したり、子どもに押させたりしている方もいらっしゃいます。僕は、そういう保護者を非難しているのではなくて、宿題をしてこないと叱られる子どもがいる一方で、宿題はしているけれども、実態はそういう程度だということもある、ということを言いたいのです。
音読は、聞いてもらえないと意味がありません。教室で教師が聞くということ、友だちが聞くということを考えていかなければいけません。宿題だけで子どもに力をつけようとすると、差が開いていくだけなのです。
国語の学習で一番大切なことは…
国語学習のポイントについて、このページで全て語ることなど到底不可能ですが、ここでは「これだけは…」というものを一つだけ示しましょう。
それは、「活字に慣れる」ということです。文章を読むにしても、書くにしても、活字に慣れている子どもは活動に取り組みやすいものです。活字に慣れている子どもは、抵抗が少ないからです。書き方を学ぶにしても、読み方を知るにしても、文字に関わることに対して抵抗を感じていては始まりません。読書量の多い子どもは国語力があるというのは、そういう活字の慣れが一つの要因でもあります。
読み慣れること、書き慣れること。そのためには、どういう学習をしていけば良いのかという手だてを示していくのです。
多賀先生からのワンポイントアドバイス
若い先生方は、国語の学習について保護者に説明することは、とても難しいと思います。国語は、その単元、その教材の知識だけで語れないものがありますから。3年生の国語を語るのに、3年生のことだけでは語れないでしょう。
だからこそ、基本的な国語教育に対する学びをしていかねばなりません。ハウツー本でネタを取り込むばかりではなく、基礎基本の書いてある本から学びましょう。いつまでも「国語はちょっと難しくて…」と言っているわけにはいかないのです。
多賀先生お勧めの、国語指導の腕を上げる基礎基本の書籍(明治図書より刊行のもの)
『「作文技術」指導大事典』国語教育研究所 編
『これだけは身につけたい国語科基本用語』瀬川榮志 編著
『国語教材研究大事典』
『大森修国語教育著作集8 国語科指導の基礎・基本』大森修 著
『宇佐美寛・問題意識集2 国語教育は言語技術教育である』宇佐美寛 著
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