
- インプット&アウトプット術
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本が好きで、たくさん本を購入するのだけど、つい溜めてしまう。いわゆる積読の状態です。積み上がった本を見るたびに罪悪感に襲われたり、自分を責めたりする気持ちになることもあるでしょう。今回は、この積読状態を解消する読書法、そこからさらに読書を広げていくコツを、ご紹介します。
知識を知恵に変える
読書法についてご紹介する前に…。
前回は学級通信を使ったアウトプットについて書かせていただきました。さて、1ヶ月の間に学級通信は書きましたか? 学んだ知識を自分のものにするために、まず行動してみることをお勧めします。それこそがインプットとアウトプットを横断する学びであると言えるのではないでしょうか。
読書をしたり、講座に出たり、ネット記事を読んだりして知識を得た後、それを自分のものにするにはどうしたら良いでしょうか。学んだことを自分の中に取り入れ、ノートにまとめる、ブログに書く、YouTubeで発信する…、つまりアウトプットすることが大切です。逆にせっかく取り入れた知識でも、読みっぱなしや学びっぱなしにしておいては知識がどんどん腐っていきます。いくら本を読んでも、行動が変わらなければ何も現実は変わっていかないのです。知識を腐らせないために、学びをアウトプットするということは、実はものすごく意味があることです。
積読解消法
(1)本の中で筆者が主張したいことは2割
小説などは違いますが、ビジネス書・教育書では実は主張したい部分は2割と言われています。200ページの本であれば、40ページほどです。つまり、本の中でメインテーマとなっている部分を見つけることができれば、ある意味その本の役割は終えていると言えます。残りの160ページは、メインテーマを言い換えていたり、例を用いて説明したり、あえて反論を用いて説を立証したりしている部分です。宝探しのように、40ページを見つける旅に出る。そんなつもりで読書を始めると、もっと気軽に読み始めることができるでしょう。
(2)目次から大切なページを見分ける
メインテーマの2割を見つけるために、まずは目次をじっと見てみます。タイトルに一番近いことを言っている章はどこなのか。反対に逆のことを言っている所はどこなのかを見つけます。目次から目星をつけておき、その章を中心に読むことで、筆者が主張したい2割に近づくことができます。
(3)本から得たいことを自分に問いかける
本を選ぶ時に、その本を買う理由が必ずあるはずです。それをより明確にしておきます。
例えば、最近購入した『1兆ドルコーチ』(エリック・シュミット他著、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社)という本があります。この本の帯には「スティーブ・ジョブスやジェフ・ベゾスには『共通の師』がいた」と書いてあり、私は一体どんな人が、どんなコーチングをしていったのかを知りたくて購入しました。具体的に言うと、「(超一流を育てた『共通の師』である)ビル・キャンベルさんのコーチングについて学びたい」と思ったのが、この本を買った理由です。
なので、読み始める前に、「超一流のコーチングについて学ぶ」と付箋に書いておきます。そして、まず15分という制限時間を設けて、その答えに当たる部分を必死に見つけます。この15分だけで、本のおおよその内容は掴めます。これでもう、本を購入した概ねの目標は達成したと言えます。
(4)仕上げ読み
(1)〜(3)の読み方で、概ねの内容は理解できたと言えます。日本人は真面目な方が多いので、最初のページから、最後のページまで全て読まなければ本を読んだことにならないと思っている人が多いのですが、なんのために読むのかという目的意識をはっきりさせれば、全てのページを読まなくても大丈夫なのです。
しかし、せっかく買った本なので、最後に仕上げ読みをすると理解度が増すでしょう。この時の読み方は虫の目、鳥の目、魚の目を意識します。
- 虫の目…虫のように小さな目で本を見てみる。(ミクロの世界)
- 鳥の目…鳥のように上から俯瞰して(鳥瞰図)本の全体を見てみる。(マクロの世界)
- 魚の目…魚のように「潮の流れを読む」。時代や市場の流れなど前後をつかみながら読む。(ストーリーの世界)
どの読み方もしっかり読む熟読ではなく、さらっと読んでいきましょう。今回の目的は積読を解消することです。家に平積みになっている本をまずは読み進めていくことで、積読の状態を解消していきます。その中で特に興味深い本、もっと詳しく知りたい本があれば熟読したり再読したりすれば大丈夫です。
関連本を読書
(1)参考文献から広げる
この本はヒットだな!とても学びが大きいなという本があった時に、巻末の参考文献をどんどん読み進めていく方法です。前述の『1兆ドルコーチ』の参考文献は71冊もあります。これらを全て読むことができれば、その分野ではかなり詳しくなっていると言えます。
(2)著者から広げる
自分は、クラス会議について学びたいと思った時、上越教育大学の赤坂真二教授の書かれた本を全て読みました。この時、クラス会議関連の本から読み始め、学級経営やアドラー心理学についての本など、どんどん読み進めていくことで、赤坂先生がどんな考え方をされているのか、何を大切にされているのかがわかってきました。このように、「この人は!」という人に出会った時には、片っ端から読んでみましょう。個人的には、ひすいこたろうさんやさとうみつろうさんの本など、教育書でない本を読むこともおすすめです。
今月のポイント
- 腐らせないうちにアウトプットをして、知識を知恵に変えていこう
- 1冊の本のうち大切なのは2割と割り切り、積読を解消しよう
- 関連本を読むことで、知識の面積を広げていこう
