- 菊池道場の価値語録
- 学級経営
価値語指導に粘り強く取り組むと、学級がスタートして約100日が経過した10月辺りから、教師が価値語を使わなくても子どもたちが次々と価値語を使用するようになります。学級にプラスの言葉が溢れ、子ども同士の中に安心感が生まれているからでしょう。安心感のある教室では、子どもたちは話し合いでも生き生きと意見を出し始めます。
頭の距離は、心の距離
ペアやグループで対話をするときは、相手の意見をしっかりと聴き、また自分の意見も伝えなければいけません。一生懸命やっている人の頭と頭は、自然と近づいていきます。
話し合いの基本は、ペアやグループ。朝の会では簡単なテーマを決めてペアトークをしたり、グループ活動では教師からグループ内が関わらざるを得ないお題を投げかけたりし、子どもたちが「話し合いは楽しい」と思える回数を重ねます。同時に、授業でもこうしたペアやグループの活動を重ねていくと、次第に子どもたちは話し合いのときに頭の距離を近づけて話し合いを始める姿を見せるようになります。そのときはチャンス! すかさずこの価値語を提示し、話し合いによって心が繋がったという実感をもたせてあげることで、さらなる質の高い話し合いになるはずです。
メモ力
友達の意見は自分と相手が繋がるチャンスです。しかし、友達の言っていること全部を覚えてはおけません。だから、友達の意見、ひいては友達を大切にするという意味で、メモをとりましょう。
「ほめ言葉のシャワー」を実践されている学級では、メモ帳を使用しているところも多いのではないでしょうか。私の学級では、授業中でもメモ帳にメモをとったり、友達の意見をノートにせっせとメモしたりしている子どもが大勢います。「友達を大切にする」という言葉が後押ししたのか、毎日繰り返すことで、最初は友達の言っていることすべてをメモしようとしていた子どもも、キーワードやキーセンテンスをメモするようになりました。その質は大人顔負けです。そうすると、相手の意見のよさや矛盾点に気づき、話し合いが白熱してきます。
放送事故を起こさない
ラジオでは、無音状態が5秒続くと放送事故。話し合いでも、話の中に空白の時間があると、意見が相手に伝わりません。ハキハキと端的に話して、自分の意見を伝えましょう。
ラジオでは無音状態が5秒続くと放送事故とされますが、子どもたちもしばしば、喋れずに固まってしまうものです。教室の雰囲気が悪くなることもよくあります。そんなときは、あえて「放送事故」という言葉でちょっとした緊張感を与えることで、「えーっと……」「ちょっと考えるので待っててくださいね〜」などと、場を繋ぐための言葉を使うようになります。もちろんすぐには変わりませんが、意識をする子どもが増えていくと、次第に意見を伝える際は端的にハキハキ伝えることが大切だということに気づくようになっていきます。