
- 菊池道場の価値語録
- 学級経営
どの子も、必ずみんなのお手本になる姿を持っています。それが授業中だったり休み時間だったり、当番活動のときだったりしますが、あらゆる場面で発揮でき、それをキャッチし合える教室でありたいと思っています。お互いのいいところを価値語として言葉に表すことで、なんとなくすごいな、と思っていたことが、「こんなふうにやってみようかな」と具体的なお手本にかわるのではないでしょうか。
遊び王
ゲーム機やおもちゃだけが楽しい遊びではありません。ほしいものが何でも手に入るわけではない――そのような中で、そこにある物や経験を生かして遊びを見つけ、友達と一緒に楽しめるようになってほしいものです。
この価値語が登場した場面は,雨の日の休み時間でした。雨の日が続くとついつい走ったり、友達と追いかけっこをしたりしたくなります。お絵かきやおしゃべりだけでは、限界がきていました。「先生、何か遊ぶものはないですか。」と聞いてきた子もいました。「○○くん、あばれたらいけんよ。」と何度も注意する声が聞こえました。
なんとか雨の日の遊びを考えなくては、と悩んでいたところ、ある男の子の声がしました。「すごろくやる人ー! 一緒にやろう!」その子は、自由帳にすごろくを書いていたのです。授業中に使っていたサイコロを見て、みんなが遊べる方法を思いついたのです。もちろん、友達は大賛成。ルールを相談しながら、みんないい顔で楽しく遊んでいました。そして、そんな「遊び王」の真似をしていろいろなすごろくが誕生しました。何でも与えてもらえることよりも、自分たちで考え出さなければならないことの方がこれから先は多いですし、ずっとおもしろいと思います。
プロになる
学校では必ずある当番活動。毎日ただこなすのではなく、自分なりにこだわりを持ち工夫しながら続けられる人は、その仕事のプロです。
黒板を消す当番、本棚を整頓する当番、電気を消す当番……学校には、いろいろな当番があります。ある日、黒板を消す当番の子どもが、黒板を消し終わった後にチョークを色ごとに分けて並べていました。聞いてみると、先生が使いやすいように、だそうです。次の時間、私はとても気持ちよく黒板を使うことができました。
また、本を整頓する当番の子どもは、本の高さをそろえるために並びかえていました。見た目がきれいだと、みんなも本を選びやすいから、だそうです。
やらなければならない仕事はたくさんあります。ですがその仕事は、まわりの人が気持ちよく過ごすためにとても大事な仕事です。低学年にして、使う人のことを思いながらこだわりを持って仕事ができる姿に脱帽しました。

なんども なんどでも
文字を書くとき、作品を仕上げるとき、何度も何度も納得がいくまでやりぬく気持ちが、成長を後押ししてくれます。そして、何度もやって「できた‼」と思えたときの満足感が、次の成長へつながります。
特に低学年は、集中力が長くは続きません。初めてのこと、難しいことだらけです。文字を書く練習も途中から疲れてきます。そんな中、初めて習った字を何回も書き直している子どもがいました。お手本をよく観察し、字の形を正確に覚えようとしていたのです。
「なんども なんどでも」字を書き直している子どものノートには、消した跡がたくさん残っています。ときには紙がやぶれそうになっています。ですがそこに残った文字は、力強く自信に満ちています。時間がかかっても納得いくまで、ていねいに字を書いたノートはとても美しく感じました。結果だけでなく、そこに行きつくまでの過程をしっかり見とり、ほめていきたいと思います。
