- 菊池道場の価値語録
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体育的行事は、子ども一人一人のできるできないが明らかにわかってしまうため、苦手に感じている子は多いと思います。そこで、子どもの実態に合わせて難易度を変えても良いのではないかと思います。誰でもできるレベルまで下げても素晴らしい演技をつくることはできます。そんな、全員が輝く発表にするための価値語を紹介します。
待つ人の見る姿勢
演技をするときはもちろん、安全のため、演技をする人に集中するため、自分の演技を向上させるため、待っている人は練習をするときも静かに体操座りで待ちましょう。
マット運動や跳び箱運動、鉄棒運動では、一人ずつ演技をすることが多いです。そのようなとき、指導者は演技をする子どもを中心に指導します。跳べることができるようになることが第一の目標だからです。このとき、待っている子どもは何をしているでしょうか。友達とおしゃべりを楽しんだり、ぶらぶら立ち歩いたり、勝手な行動をしていないでしょうか。
マット運動や跳び箱運動、鉄棒運動では、怪我をする可能性があります。危険があること、真剣に取り組まなければならないことを伝えて、学習を始めましょう。おしゃべりをしたり、勝手な行動をしたりすることを、許すわけにはいきません。そのためには運動の場の設定を工夫しましょう。待つ時間が長くなりすぎないように、子どもの人数に応じて運動の場を多めに設定します。
待つ子どもは、安全のため静かに体操座りで待ち、さらに演技をしている子どもを見て、自分の演技に生かしていくことが大切です。そして、待つ子どもの動きがないことによって、動いている子ども、つまり演技をしている子どもに指導者は集中することができます。演技を発表するときも、とても見映えのする演技となります。
全員が本気
集団演技で必要なことは、全員が本気であることです。能力の差はあれ、全員が演技に対して本気になることで、感動を呼ぶ美しさを表現することができます。
ダイナミックで見る人が驚くような演技も素晴らしいですが、全員でつくり上げる集団演技はそれよりも感動を呼ぶほどに美しいものです。
例えば、全員が並んで同じ動きをする。これだけでも、全員が本気でやれば、かなり美しいのです。さらに難易度のある技を全員で演じたり、組み合わせて表現したりすると、それは感動を呼ぶほどの演技になります。発表を行うと、我が子がみんなと一緒に演技をしているといううれしさを保護者は味わうことができます。そう、どの子どもも輝けるのです。
誰でもできる動きでも、美しく見せるためには、全員が本気であることが必要です。たったそれだけですが、「全員が」というのがやはり難しい場合もあります。苦手な子どもには、写真や動画で簡単な動きが揃うと美しいことを伝え、美しさを表現する楽しさを味わわせてから、徐々に難易度を上げていくと良いと思います。演技がそろった瞬間をすぐに伝えたり、動画を見せるなどしてフィードバックすると、子どもの意欲が向上していくでしょう。集団の一体感も高まっていきます。
極めてこそ、できる
「この技できるし〜」などと言って満足しているうちは、できていません。美しさを極める気持ちがあってこそ、できるというのです。向上心をもって練習をしましょう。
「気をつけ」の姿勢でさえ、美しさを極めてこそ、できていると言えます。かかとをそろえ、爪先を開き、中指の先を伸ばし、前を向き、一定時間静止する。さて、できているでしょうか。
簡単にできていると思っている子どもこそ、このような美しさについての意識が欠けています。「前回り降りくらいできる」と言っている子どもの演技は、気をつけの姿勢から始まり、正しい握り方でとびあがり、音をさせずに着地できているでしょうか。美しさのポイントは、指導者が子どもの実態や求めたい姿をもとに決めると良いです。例えば、余裕を醸している子どもにはポイントをたくさん示します。一方、やっとできるというような子どもには何度もできるというポイントを求めます。
現状に満足させない、ポイントをクリアする喜びをたくさん与えるための価値語です。