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「fun」の教育学が注目を集める!
最近、教育学の世界で「fun(面白さ)」の概念が注目を集めています。
従来の教育実践では授業は静かに真面目に受けるものとされてきました。子どもたちが静かに真面目に授業に取り組むとうい前提がつくられると、教師は教科書に書かれた内容を教えやすくなるからです。学習ゲームのような「fun」に基づく教育方法は、授業になかなかノってくることのできない子どもたちを教師(勉強)の方に惹きつけるための「必要悪」であるというふうに考えられることが少なくありませんでした。
ところが、最近の教育学では、「fun」が学びの大前提にあるという議論が主流になりつつあります。その背景にはポジティブ心理学の発達があります。とくにチクセントミハイのフローの心理学の影響が大きいです。従来の心理学は人のネガティブな行為に着目してきたのに対して、ポジティブ心理学は人のポジティブな活動に着目をしました。
チクセントミハイは、人がある物事に集中するフロー状態にある時、楽しさ故にそれに完全にとらわれ、雑事、雑音、時間の経過をも忘れさせるほどの状態になると言います。つまり、「fun」は体験的な学びにとって非常に重要な要素だということです。
学習ゲームアイデア「漢字探し」
人には「ものをたくさん集めて楽しむ」という習慣があります。
そのことを利用した学習ゲームに「漢字探し」という非常にポピュラーなゲームがあります。たとえば「木のつく漢字探し」という以下のゲームです。
- 「木のつく漢字」を集めます。(偏でなくてもOK)
- 個人でノートにできるだけたくさん書き出します。(5分)
- 時間がきたら、各自で書き出せた「木のつく漢字」の数をメモします。
- 右手を挙げて、「5つ以下は手を下げます。6つは下げます。7つは下げます」と いうふうにして、もっとも多く書き出せたチャンピオンを決めます。
- チャンピオンは黒板にその漢字を発表します。
授業冒頭で導入ゲームとしてやる場合はこれで終了です。ただし、もう少し漢字学習としての学びを深めるのであれば、児童個々が書き出した「漢字」をさらに黒板に付け加えていく作業をします。たとえば「他に木のつく漢字はありますか?」と聞きます。
これによってクラス全体でより多くの漢字を探す協同学習になります。
また「漢字探し」をこれで終わりにせずに「氵(さんずい)のつく漢字」「亻(にんべん)のつく漢字」「宀(ウ冠)のつく漢字」「カタカナを組み合わせた漢字」(化、右、回…)「畳語になる漢字」(山々、薄々、転々…)「一字で動植物を持つ漢字」などと発展させられます。
つまり「ものをたくさん集めるfun」の蓄積体験ができます。
学びではこういう「funを伴った学習材の蓄積体験」が非常に重要です。「funを伴った学習材の蓄積体験」を前提に、その先の「比較」「分類」の学習、「比較」「分類」をベースにした考察・発見の学習へと学習者を導いていくことが可能になるからです。
「漢字探し」ゲームの学びのしかけ
この漢字探しゲームをすると盛り上がります。授業にノって来ない子どもたちをこれによって惹きつける「必要悪」的使い方をしてみたくなります。それも悪くないでしょう。
しかしもう少し漢字と個々の学習者の関係を追究してみることもできます。
たとえば、中学3年生の女の子で「みんなと協同で漢字ゲームを楽しむ」ことに興味を示さない生徒がいました。彼女は、勉強は個人的にやるもので、協同的に学ぶのは時間の無駄と考えているようでした。ところが「一字で動物を表す漢字」を課題に漢字探しゲームをした時です。彼女は本当に夢中になってそれを探し、みんなにも教えていました。
彼女に「動物の漢字、得意なの?(笑)」と聞いてみると、「小学校の時に、同じ動物好きの友だちと似た遊びに熱中した」と教えてくれました。
漢字探しはこういう学習者の漢字にまつわるエピソードが生まれるように少しゆったり実践してみることもできます。そうすることで「学習者の漢字学習を深めていくきっかけ」なども発見できます。