- 著者インタビュー
- 評価・指導要録
中嶋先生:一番大事なことは、子どもの長所や特徴、進歩の度合いなどを、的確にとらえて評価することです。したがって、あれもこれも書く必要はありません。ポイントを絞って、一つか二つ書きましょう。そうすることでわかりやすく読みやすい文章になりますし、スペースにも余裕ができます。言い足りないことは、次の学期に回します。すぐに知らせたいことがあれば、連絡帳など別の方法を用いた方がよいでしょう。
中嶋先生:どの学級にも、“もう少しここをがんばってほしい”と思う子どもがいるものです。その子の保護者に、がんばりが足りない点を知らせるわけですから注意が必要です。日ごろから保護者と連絡をとって協力を得ているようなことを、改めて通知表に書くのは好ましくありません。また、必ず事実に基づいて、柔らかな文章表現で励ましましょう。子どもの人権を損なわないような、また保護者を傷つけないような表現に配慮することが大切です。
田代先生:特別支援を要する子どもについては、特に、子どもの認知の仕方、行動の傾向を担任としてつぶさに観察し、その子に応じた所見を書くことが大切です。外国籍の子どもについては、その子や保護者の置かれている立場を十分に理解した上で、日本の教育への理解を促すことが重要になります。どちらにおいても、子どもの状況や立場を認めず、排除したりするような表現は禁物です。
田代先生:まずは、その子固有のよさについて言及することです。そのためには、一人ひとりの行動や学習の様子をつぶさに観察、記録する必要があります。肯定的な要素、すなわち“できるようになったこと”から伝えましょう。通知表は、保存しておけば一生残るものであるということを念頭に置いて、受け取り手の立場になって考えることが大切です。