- 著者インタビュー
- 国語
戦後の日本は経済や文化など多くの面で欧米社会を模範とし、成長を遂げてきました。その結果、日本の近代化がなされたということは事実ですが、反面、日本人が長い年月を通して培ってきた感性や情緒、習慣や価値観など、日本的なよさが失われつつあります。このような反省から我が国の伝統的な文化を尊重し継承する教育の充実が求められるようになったのです。
古典文学には、日本人が長い間大切にしてきた価値あるものがたくさん込められています。小学生の頃からこれらに親しみ、先人のものの見方や考え方、人との付き合い方、自然との関わり方など様々な日本的なよさを感じ取ってもらいたいと思います。
中学校や高等学校の古典指導とは違います。内容の解釈や文語文の読み取りなどだけにこだわらないようにしましょう。音読を多用したり現代語訳を活用したりして、古典を楽しませることが大切です。小学生はいろいろなことに興味・関心をもちます。古典の世界で自由に遊ばせてあげたいと思います。
古典文学には、毎日の暮らしを豊かにする先人の知恵や、人生の楽しみ方が書かれています。私たちは、学校を卒業してからも生涯古典に親しむような態度や能力を育てたいのです。小学校はその入り口です。小学生の間に古典の世界の扉を開き、古典の面白さや価値に気づいてもらいたいのです。そして年齢に応じて、古典の世界を堪能してもらいたいと思い、書名を付けました。
小学校の先生方にとって、伝統的な言語文化に関する指導はまだまだ不慣れな分野だと思います。この本は、「教科書教材を中心に」「具体的な授業のイメージが作れるように」編集してあります。活用型の学習形態を大切にしていますので、本書を参考として、生き生きとした授業が展開できることと思います。
古典は先人が残してくれた日本の宝物です。子どもたちに古典を通して日本のよさや日本人のすばらしさを教えていただき、伝統文化を大切にする気持ちを育ててください。