
- 著者インタビュー
- 国語
本書では、板書のもつ機能を、次の5点に分けて記しました。
- 知識・思考・技術等の操作
- 学習の流れのコントロール
- 学習への参加意識の確認・高揚
- 単元における教材や学習内容・活動の可視化
- 機器や掲示との連携
中でも、黒板に記して子供に見せるという活動から、抽象的なものを「視覚化(可視化)する」ことと、流れや方向を「コントロールする」という機能は、大きな力を発揮します。言葉の意味や思考内容、参加意識などをはっきりと示すことによって、児童の学習内容が整理されます。また、言語活動や思考の方向性、学習のプロセスや質的な高まりなどをコントロールすることで、学習の確実な成立を期すことが可能になります。詳細は本書をご覧ください。
板書の機能と授業改善を絡めて言うならば、「視覚化(可視化)する」機能を最大限発揮するには、「教える中身をはっきりさせる」ことです。話し方、聞き方、書き方、読み取り方など、言語を使った技能をしっかりと教えて板書で見せる授業に改善すべきです。また、「コントロールする」機能を生かすならば、「言葉による課題解決的な学習」を構想し、課題の設定や解決・交流に向けた学習プロセスへとコントロールしていくべきなのです。
「黒板は先生のもの」と思っている子供は案外と多いのです。開放された黒板に子供自ら書くことができる学習は、積極的な参加型学習の象徴といえます。また、板書は、教師のもつ言語の知識、技能、感覚などがすべて表れる、まさに子供にとって最大の言語環境なのです。さらに、どこの学級にも存在する配慮を要する子供たちを意識した、板書のユニバーサルデザインの発想や配慮は、もはや学級担任の義務でもあります。
週案などの日常の教育(授業)計画を立てていくときに、教科書の指導書に飽き足りない方は、是非活用していただきたいものです。特に、板書と発問の前ページに記した、この教材で学習するにあたって「子供に身に付けさせたい国語の力」や「板書のアイディア」、「教師の願い」を読んで、学級の子供たちの顔を思い浮かべながら、自分ならこうしようかなという思いをもって、板書や発問のページをめくってください。本書に掲載されている板書が、あなた色に変わってくると思いますよ。
国語科は必ず自分で授業するし、いちばん授業時間は多いし、人間は言葉で考えたり考えや気持ちを伝え合ったりするし、なんだかんだ言っても、最も重要な教科です。その授業が、わからなかったり面白くなかったりしたら、あなたも子供も毎日が不幸ですよね。国語の授業を「言葉で遊ぶ」「言葉を楽しむ」くらいの心の余裕で作ってみてください。そんなあなたに、この本はきっとお役に立てると思いますよ。