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コーチングを取り入れたきっかけは、自分のやり方では授業がうまくいかなかったからです。なんとか現状を打破しようと、達人セミナーに通い、優れた実践報告にふれた結果、講師の先生方の実践の奥にコーチングと共通する部分があることに気がつきました。それで、授業にコーチングを取り入れようと思ったのです。
コーチングは、誰にでも応用できるスキルです。教師だけでなく、生徒自身が、授業の中でそのスキルを身につけて、英語を学べば、よりよい生き方を選択してくれるのではないかとも考えています。英語の学び方、知識の活かし方、人との関わり方を学ぶ仕組みを、生徒自身がつくることができればいいなと思います。
コーチングスキルを取り入れるまで、私は生徒に知識をインプットすることばかり考えていました。
「ああしなさい。こうしなさい。」
と、生徒に指示ばかり出していたのです。生徒が指示に従わないと、反抗していると思って、大きな声を出したり、悔しがったりしていました。
また、
「どうしてちゃんとやらないの。」
「大きな声で発表しないと成績が心配だな。」
などと、なだめたり、すかしたりもしていました。
しかし、実際にコーチングを取り入れてみると、言葉のかけ方の間違いに気がつくことが多くなりました。例えば、ほめ言葉が少ないことなどです。いつも、何をしても“Good job.”…これでは、生徒からしてみれば、せっかくがんばったのに、何も声をかけてもらわなかったのと一緒です。また、成果ではなく、やろうとしている途中の過程に目がいくようになりました。
コーチングを授業に取り入れる前は、世話を焼きすぎて、生徒の成長を妨げていました。コーチングを取り入れてから、生徒の成長を考えて、教えたくなっても生徒が自分で辞書を引いたり、ノートを確認したりするまで我慢するようになりました。自分で考え解決したいと思わせる工夫を取り入れることで、授業が以前より活性化したと思います。
私はこれらのアクティビティーを、道徳や学活、集会でも使っています。道具がなくてもいつでもどこでも使えるアイディアですので、使い方は多様です。大人であれば研修会などのアイスブレイクにも使えます。とくに、私のもう一つのバックグラウンドである、開発教育の視点も取り入れていますから、ものの見方や考え方が多角的になることを求められる場面でいつでも使えると思います。
- 感情移入スキット
- 部屋の四隅
- ヒーローインタビュー
です。
Anthony Robbins(アンソニー・ロビンス)は“You can't always control the wind, but you can control your sails.(風はいつも自分の思い通りにはならないけど、帆を操作することはできる。)”と言っています。
もともと、本書を書かせていただく動機になったものは、日々過酷な現場で働いている教師のみなさんを応援したいという気持ちからでした。現場ではだれかに頼りたくても頼るのが難しいという現状があります。厳しい現状は急には変わりませんが、大変だと感じた時に本書を開いて、コーチングを英語授業に導入することで、先生ご自身の気持ちが明るくなり、そしてちょっとでも仕事が楽になれば…と願っています。
風は思い通りにはならないけど、風を読めば目的地につくばかりか、小さな力で遠くまでヨットをすすめることができます。本書で紹介したコーチングスキルが、英語授業をしている先生方のお役に立てればと思っています。