- 著者インタビュー
- 算数・数学
1時間の授業過程を「導入」「展開」「終末」とします。本書では、各過程の工夫と、教師の働きかけを提案しています。「導入」では、子どもに「問い」をもたせ、追求しようとする意欲を高めます。「展開」では、仲間とかかわり合いながら主体的に問題を解決していきます。「終末」では、本時の学習のまとめを行ったり、自分の学習を振り返ったりします。これらの過程をスパイラルに繰り返すことで、思考力・表現力は高まっていきます。
算数教師が身に付けたい技は、教師のうでの見せどころとして、「教材」「板書」「発問」「教具」の4つを提案しています。これらは、日常の授業でどの教師も行っていることですが、技のポイントを知っているかどうかで、子どもへの影響は大きく違います。本書では、教師として必ず身に付けたい技を具体的に紹介しているので参考にしてください。
板書は発達段階によって少し変わってきますが、どの学年にも共通していることは「分かりやすい板書」です。「分かりやすい板書」とは、「学習の過程が見える板書」「考える手がかりとなる板書」です。文字を適切な大きさでていねいに書いたり、色チョークを効果的に使い分けたりすることが重要です。板書がうまくかけると、授業の進め方が格段に上達します。ぜひ、授業前に板書計画を立てることをおすすめします。
発問は、「短く、分かりやすい」「言い直さない」が鉄則です。しかし、場合によっては、教師の長い説明が必要となります。その場合は、教具を工夫し、視覚的に子どもに提示していくことが重要です。近年、ユニバーサルデザインを考慮した板書の必然性が叫ばれています。本書を参考にしながら板書と発問をセットにして授業を構想することをおすすめします。
今年度、本サークルは40周年を迎えました。これまで一貫して「子どもに考える楽しさを実感させたい。」「子どもの考える力を高めたい。」と願ってきました。本書でも教材開発や教材準備、板書、発問等の教師の働きかけを示し、子どもの学ぶ意欲、知識・技能、見方・考え方を高める授業への変革を提案しています。本書は、より多くの先生方に追試していただけるように工夫して書きました。本書が全国の先生方のお役に少しでも立てれば幸いです。