著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教材開発・発問・板書の要点を押さえて、追求する子どもを育てよう!
「長岡算数教育を語る会」代表木村 健司
2014/2/27 掲載
 今回は木村健司先生に、新刊『考える楽しさ実感!思考力・表現力を高める算数授業&板書アイデア』について伺いました。

長岡算数教育を語る会ながおかさんすうきょういくをかたるかい

長岡算数教育を語る会は,昭和49年に発足し,毎年60名程度の会員で構成される算数教育研究サークルである。毎月1回の例会と授業研究会を主な活動として,多くの実践を広く公開している。

―思考力・表現力を育てるため、本書ではどのような算数授業が提案されていますか? 詳しくは本書で…と思いますが、簡単にご紹介ください。

 1時間の授業過程を「導入」「展開」「終末」とします。本書では、各過程の工夫と、教師の働きかけを提案しています。「導入」では、子どもに「問い」をもたせ、追求しようとする意欲を高めます。「展開」では、仲間とかかわり合いながら主体的に問題を解決していきます。「終末」では、本時の学習のまとめを行ったり、自分の学習を振り返ったりします。これらの過程をスパイラルに繰り返すことで、思考力・表現力は高まっていきます。

―算数教師が身に付けたい技にはどのようなものがあるのでしょうか?

 算数教師が身に付けたい技は、教師のうでの見せどころとして、「教材」「板書」「発問」「教具」の4つを提案しています。これらは、日常の授業でどの教師も行っていることですが、技のポイントを知っているかどうかで、子どもへの影響は大きく違います。本書では、教師として必ず身に付けたい技を具体的に紹介しているので参考にしてください。

―本書には多くの板書写真が掲載され、板書のポイントが紹介されています。算数における板書はどのようなものがいいと先生はお考えになりますか?

 板書は発達段階によって少し変わってきますが、どの学年にも共通していることは「分かりやすい板書」です。「分かりやすい板書」とは、「学習の過程が見える板書」「考える手がかりとなる板書」です。文字を適切な大きさでていねいに書いたり、色チョークを効果的に使い分けたりすることが重要です。板書がうまくかけると、授業の進め方が格段に上達します。ぜひ、授業前に板書計画を立てることをおすすめします。

―小学校現場では新卒教師も増えていますが、どのような発問をすれば子どもはいきいきと動き出すでしょうか?

 発問は、「短く、分かりやすい」「言い直さない」が鉄則です。しかし、場合によっては、教師の長い説明が必要となります。その場合は、教具を工夫し、視覚的に子どもに提示していくことが重要です。近年、ユニバーサルデザインを考慮した板書の必然性が叫ばれています。本書を参考にしながら板書と発問をセットにして授業を構想することをおすすめします。

―最後に全国で算数を教える先生方へのメッセージをお願いします!

 今年度、本サークルは40周年を迎えました。これまで一貫して「子どもに考える楽しさを実感させたい。」「子どもの考える力を高めたい。」と願ってきました。本書でも教材開発や教材準備、板書、発問等の教師の働きかけを示し、子どもの学ぶ意欲、知識・技能、見方・考え方を高める授業への変革を提案しています。本書は、より多くの先生方に追試していただけるように工夫して書きました。本書が全国の先生方のお役に少しでも立てれば幸いです。

(構成:木山)
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