- 著者インタビュー
- 学級経営
初めてクラス会議に取り組む先生が、どのように立ち上げ、どのように運営していったらいいかを丁寧に解説しました。また、30人を越えるような人数の多い学級でも、傍観者を出さず、全員が主体的に関わるためのアレンジの仕方やクラス会議が成功するためのポイントを図表を用いてわかりやすく示しました。
アドラー心理学に基づく教育の目指すところは、人とつながって生きる子どもたちの育成です。つながるとは、単に仲良くなることではなく、その良好な関係性をベースに協力して課題を解決する力をもつことです。
学級の問題を自分たちで話しあって解決し、また、困難を抱える仲間がいたら互いに支え合っていく。クラス会議は学級をそんな集団に育てることができます。
まずは、教師が子どもたちに理想の学級を語ることです。きっとクラス会議を実践しようとする先生は、子どもたちの力を信頼し、自分たちで高め合うクラスになってほしいと願っていることでしょう。子どもたちも、自分たちで決めたい、自分たちでやりたいと思っているはずです。それを実現する方法がクラス会議であることを伝えたら、多くの子どもたちが賛同してくれるはずです。
輪になると言うことは、互いの対等性の象徴です。クラス会議で誰もが対等な関係に立つことが原則です。また、輪になると互いの表情がよく見えます。ここにいるメンバーが仲間であることを自覚できます。そうした状況で伝え合うあたたかな言葉は、学級に受容的な雰囲気をつくり、問題解決への意欲を高めます。
議題の精選はときには必要なことですが、クラス会議では子どもたちの言葉をそのまま議題にすることを大事にします。議題の精選の過程で話し合いが本来の提案者の願いとは違った方向に行ってしまう可能性もあります。
クラス会議では、提案者の問題意識を重視します。そこに寄り添って話し合いをすることで共感性が育ちます。信頼のベースには共感性があることは説明の必要がないでしょう。
みなさんは、自分たちを教師の力で解決するクラスを望んでいますか。それとも自力解決するクラスを望んでいますか。後者を望むならば、子どもたちにその体験をくぐらせる必要があります。クラス会議はそうした活動を通して、相互信頼、相互尊敬の関係をつくり、自分のクラス、そして自らの力に自信を持ちます。
生きる力の中でもっとも中核的な力は、問題解決能力だと捉えています。それも、人間関係の問題を解決する力です。なぜならば、わたしたちを最も悩ませ、そしてまた逆に喜びを与えてくれるのも人間関係だからです。誰でも簡単にクラス会議ができるというつもりはありません。しかし、本気で子どもたちの幸せを考えたら是非とも取り組みたい活動の一つだと考えています。