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おそらく知られていませんが、私は教育工学の専門家として上越教育大学に採用されました。日本教育工学会にも論文が掲載され、人工知能のプログラミングで論文を書き、ICチップでコンピュータをつくったことがあります(ボードではありません)。
昔から教育工学に携わっていて、何度も同じことの繰り返しを見ています。現状のICT教育も全く同じです。それは専門家に引きずられて、子どもが置き去りにされているのです。今度はそんなことが再現されないことを願って書きました。
ICTに堪能な教師が集められた学校、大学研究者がサポートしている学校、そんな学校がスポットライトを浴びています。しかし、大事なのは、コンピュータがちょっと分かった教師が数人いて、コンピュータがよく分からない教師が大多数で、コンピュータが大嫌いな教師が数人いる学校で続けられる実践です。何故なら、日本中の大多数の学校はそういう学校ですから。
少ないのが当然です。今、日本中の人の多くがスマートフォンを持っています。では、どれだけ堪能でしょうか?おそらく、スマートフォンの機能の1%も使っていない人が99%を占めています。そして、それが普通なのです。それを前提とすべきだと思います。
むしろ現状のICT教育で置き去りにされている、何故、ICTを使うかという基本的な問いに対して応えられることが大事なのです。先に述べたように、携帯電話の機能をほとんど使えなくても、多くの人は問題なく活用しています。
もっとも簡単な対策は「禁止」です。たしかにそうすれば教師は自分を守ることが出来ます。でも、子どもを守ることは出来ない。彼らは危険の多い社会に生きなければならないのです。であれば、教師の管理下で、教師の目の前で危険と向き合わせ、乗り越える能力を子どもに与えるべきだと思います。
本書で挙げた事例は出発点に過ぎません。先生方が自分で発展させて欲しい。
ICT教育に限らず、『学び合い』が効果がある理由は何か?本人がやる気なれば、どんな教材も有効になります。しかし、本人にやる気が無ければ、どんな教材も無効です。教師が悩む成績中の下、下の子どもたちにやる気を与えられるとしたら、それはクラスメートの「一緒にやろうよ」という一声なのです。
あなたと同じような人、同じような学校の人が出来ることを目指しましょう。日本中の教師の圧倒的大多数は、あなたと同じです。胸を張って下さい。
あなたの実践こそが、日本を変える実践なのです。