- 著者インタビュー
- 国語
端的に言えば、「学校を卒業してからも子ども自身が自覚的に活用できる力」のことです。学校の中で学ぶ目的は、学校の外にこそ存在するのです。「ごんぎつね」をいかに完璧に読むことができても、それは学校の外では役立ちません。「外」とは、空間的意味のみでなく、時間的意味もあります。子どもの未来を支える技術を与えること。それが授業の役目です。
「3つの力」とは、「言いかえる力」「くらべる力」「たどる力」のことです。それぞれ、同等関係整理力、対比関係整理力、因果関係整理力のことです。まとめて言えば、「関係整理力」です。読解力のみならず、広く国語力とは、この「関係整理力」を身につけることなのです。
国語のテストにおいて最も重要なのは、評価基準を明確化することです。ある10点満点の記述式設問で、Aさんが7点、Bさんが8点だったとします。そのとき、BさんがAさんよりなぜ1点高かったのかを、教師は全員の前で説明できなければなりません。その説明によってこそ、Aさんは次の機会に1点アップできるようになるわけです。
「活動」という言葉にだまされないようにすることです。子どもがワイワイがやがやと話しあったり教室を歩き回ったりするだけで、実質的な「国語力」が何ら身についていないような、いわば教師の自己満足の授業が多々存在し、それが優れた授業だと思われてしまうのが現状です。「言語活動」とは何か。その答えは、本書に明確に示されています。
子どもは小学1年生であっても日本語をある程度使えます。しかし、そういう素地に頼った授業をするのは、極めて危ういことです。系統的に日本語を身につける前に、話し合いばかりさせていてもダメなのです。日本語をしっかり身につけさせる授業を行う責務が、先生方にはあります。しっかりその責務を果たすべく、今その第一歩を踏み出しましょう。